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ライフカルチャーを楽しむリゾートパークを目指して 「北欧、暮らしの道具店」が事業の先に見据えるもの

 2007年、北欧雑貨を取り扱うECサイトとして「北欧、暮らしの道具店」を開業したクラシコム。「フィットする暮らし、つくろう。」というコンセプトのもと、北欧に限らず、暮らしを彩る様々な商品を販売している。また現在ではEC事業に留まらず、コラム・ポッドキャスト・オリジナルドラマなどのコンテンツ制作や、企業のマーケティング支援を行うなど、ライフカルチャーにまつわる様々な事業を行っている。「『北欧、暮らしの道具店』はECサイトではなく、ライフカルチャープラットフォーム。お客様にライフカルチャーを楽しんでもらえるリゾートパークのような存在でありたい」と語るのは、同社代表の青木耕平氏。青木氏と、同社で企業マーケティングの支援を行う「ブランドソリューション」の責任者を務める高山達哉氏に、「北欧、暮らしの道具店」の強さの源泉、事業展開の先に見据えるものを訊く。

※本記事は、2022年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』76号に掲載したものです。

ECサイトの枠を超え、事業を拡大し続ける「北欧、暮らしの道具店」

(左)株式会社クラシコム 代表取締役 青木耕平(あおき・こうへい)氏

 1972年生まれ。2006年、実妹である佐藤友子と株式会社クラシコム共同創業。2007年より北欧ビンテージ雑貨をEC販売する「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在では「フィットする暮らし、つくろう。」をミッションにライフカルチャープラットフォームとして、様々な商品を取り扱いながら、日々の暮らしに関するコラムや映像を制作・配信するとともに、企業へのマーケティング支援を行うなど、ライフカルチャーにまつわる事業を展開中。

(右)株式会社クラシコム 取締役 事業開発部 部長 高山達哉(たかやま・たつや)氏

 1985年生まれ。WEBサイト制作会社にて、コンテンツマーケティングのプランナーを経て、2015年9月にクラシコム入社。ブランドソリューションの立ち上げを行い、「北欧、暮らしの道具店」に新たなビジネスラインを確立。現在も様々な企業とのコラボレーション施策を統括、「北欧、暮らしの道具店」の世界観やブランド価値をクライアント企業にソリューションとして活用いただく取り組みに従事している。

──クラシコムでは、「北欧、暮らしの道具店」においてEC事業、コンテンツ事業、企業のマーケティング支援事業など、複数の事業を展開されています。はじめに、各事業の最新トピックスをお聞かせいただけますか?

高山:EC事業においては、2020年4月にリリースしたスマホアプリが、2021年10月に150万DLを突破しました。スマホアプリの提供開始前後で比較すると、EC売上は年間で約1.7倍増の45.3億円に伸長し、現在は月間EC売上の56%がアプリ経由となるまでに成長しています。最近では、当社のオリジナル製品である「春いちボトムス・秋いちボトムス」がシリーズ累計3万2,000本販売を達成するなど、オリジナル製品の人気も高まっています。

 コンテンツパブリッシャー事業においては、2018年4月に初めて作ったドラマシリーズ『青葉家のテーブル』を長編映画化し、2021年6月に全国の劇場にて公開したことは大きなトピックスですね。またオリジナルドラマシリーズ『ひとりごとエプロン』がYouTubeで1,000万回再生を超えるなど、コンテンツのヒットと巣ごもり需要を受け、2022年1月に公式YouTubeチャンネルの登録者数が50万人を突破しています。社員が出演する「チャポンと行こう!」などのポッドキャスト番組の総再生回数も1,000万回を達成しました。

 そして、企業向けに提供するマーケティング支援プログラム「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」は、2015年7月の提供開始から2021年7月期までに年間売上平均160%増のペースで事業成長を続けており、現在までに累計100社を超える企業様とお取り組みを行わせていただいています。

 こうした「北欧、暮らしの道具店」の世界観でつながるビジネスを評価され、2021年度の「ポーター賞」を受賞させていただいたことも、昨年度のホットトピックの一つです。

「北欧、暮らしの道具店」エンゲージメントチャネルの数値
「北欧、暮らしの道具店」エンゲージメントチャネルの数値

顧客インサイトの追求を第一に

──ECサイトの運営から、Instagram、YouTube、ポッドキャストと、顧客接点をどんどん拡大されているのが印象的です。こうしたチャネルの拡大は、どのような狙いを持って行われているのでしょうか?

青木:チャネルの拡大は、それ自体を目的にしていたのではなく、「顧客インサイトの追求」に愚直に取り組んできたことで、結果的に拡大していったという流れです。

 元々僕たちは、インテリアの専門家でもアパレルの専門家でもないところからEC事業をスタートしており、商品選定の基準も「自分たちが欲しいかどうか」というものでした。でも自分たちが欲しいかどうかだけではビジネスとしては成り立たないため、お客様にも喜んでもらう必要がある。自分たちの欲しいという感覚と、お客様に求められるものが合っているかの基準が最初はなかったので、まずは自分たちが欲しいと思ったものを顧客にそのまま投げ、返ってくるフィードバックをとにかく見ることで、改善点や新しいビジネス機会を探っていきました。ビジネスの規模が大きくなった今でも、この「顧客インサイト」を重視する姿勢は変わっていません。

 新しいチャネルとの出会いも、顧客インサイトを追求する中で生じます。たとえば僕たちは2014年にInstagramを始めたのですが、これも当時たまたまスタッフがInstagramを見ているときに「#北欧、暮らしの道具店」というハッシュタグに400件くらい投稿されているのを見つけて。「私たちのお客様がどうやらInstagram内にいるらしい。じゃあ使ってみようか」となったのが始まりです。

 最近ではポッドキャストが人気なのですが、これも「北欧、暮らしの道具店」のメインユーザーである30〜40代女性の方々は、日々忙しい中で「ながら聴き」できるコンテンツを欲しているのでは? というインサイトを見出し、はじめてみたのがきっかけでした。

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社員の8割が元顧客。採用もインサイト発掘の場になる

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企画も担当。最近はSDGsに関する取り組みに注目しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/25 06:30 https://markezine.jp/article/detail/38792

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