Cookieに依存しない「Unified ID 2.0」とは?
Googleが3rd Party Cookieをサポートしないと発表したことで、大打撃を受けると考えている企業は多いでしょう。しかし、3rd Party Cookie廃止と言われる前から、コンテクスチュアルターゲティングやキーワードターゲティングをはじめとしたCookieに依存しないターゲティング技術は発達していました。Cookieレスのターゲティング精度が上がり、技術が多様化していく中で、曇りがかっているCookieレスの時代は少しずつ晴れてきています。
当社がイニシアティブをとっている「Unified ID 2.0」も、Cookieレス時代を支えるソリューションのひとつです。Unified ID 2.0は、個人のeメールアドレスを暗号化し、ハッシュ化して管理することで、プライバシーに配慮したIDソリューションを提供します。
Unified ID 2.0は、様々なIDソリューションと相互運用が可能なオープンソースであり、中立性を保つために「Prebid.org」という独立した組織が管理する予定です。デバイスやOS、ブラウザに依存せずに用いることができ、Googleのウォールドガーデンのように特定のプラットフォームが情報を独占することもありません。
媒体社、広告主、テクノロジープロバイダなどの業界のリーダーたちと協力して、より強力で、より透明性の高いオープンインターネット、つまりウォールドガーデンに独占されることのない場所を築こうとしている。これは、大きな光であるといえます。
Unified ID 2.0は、広告主にもユーザーにもメリットをもたらす
メールアドレスという1st Party Dataを活用してマーケティングを行うことには、実は、3rd Party Cookie以上に大きなメリットを得られる場合があります。
たとえば、消費財系企業の場合。カスタマーのコンバージョンポイントは、オフラインのドラッグストアやコンビニでの購買が中心で、その購買行動はCookieでは捕捉できません。しかし、1st Party Dataを使ってUnified ID 2.0を活用すれば、コネクテッドTV(CTV)でキャンペーン広告を配信した何日後に購入に繋がったのか、といった評価が可能になります。これまでのCookieとは異なり、広告チャネルを横断してマーケティングを展開することができるのです。
実際に、海外では次のような事例が出てきています。
・高級調理器具を販売する「Made In」は、Cookieレス時代に備えてUnified ID 2.0を導入。3rd Party Cookieを使用した場合と比較して、CVユーザーが22%増加、また33%速くCVするという成果が見られた。
・カナダを拠点とする高級子供用家具、アパレル、玩具メーカーの「Coco Village」も、Cookieレス対策としてUnified ID 2.0を導入。結果、インクリメンタルリーチが40%増加し、新しい潜在顧客にリーチできた。また、広告費用対効果は1,000%上昇した。
そして、1st Party Dataの活用は、企業サイドだけでなく、ユーザーにとってもメリットがあります。自らのメールアドレスという情報を渡すことで、著作権をクリアしている信頼性の高いコンテンツを無償で見ることができるようになるケースも少なくありません。パブリッシャー、SSP、広告主、DMPが連携して、ユーザーにとって関連性が高い広告を配信するかわりに、ユーザーは自分が求める優良なコンテンツを見られる、という循環ができます。3rd Party Cookieが使えなくなり、1st Party Dataを活用するようになると、そのギブ・アンド・テイクの価値がより増していくでしょう。