デモグラフィック分析では追いきれない?生活者を価値観別にセグメント
――最初に、武田さんの経歴をお聞かせください。
武田:食品業界で実務経験を18年、コンサルティングを18年やってきました。最初は健康食品会社で営業や企画営業をやっていて、その中でマーケティングの勉強の必要性を感じて法政大学の夜間大学院でマーケティングを勉強しました。その後、通販の健康食品会社へ転職し、新商品開発と新規事業開発を担当しました。仕事を通して、社内で企画を通していく大変さ、新規事業を立ち上げる大変さについて身をもって体験しました。
そして、2004年にそうした経験と人脈を活かし、健康食品業界に特化したコンサルタント会社グローバルニュートリショングループを創業しました。また、2020年8月に設立したウェルネス(健康)に関する情報の調査・発信を行っているウェルネス総合研究所の理事も務めています。
――ウェルネス総合研究所では「ウェルネストレンド白書」というレポートをリリースさていますが、どういったものなのでしょうか?
武田:20代から70代の男女4,600名の生活者に調査した、健康・ウェルネスに関する調査です。2021年12月にVol.1を、2022年5月にVol.2をリリースしています。
最大の特徴は、多変量解析の因子分析という手法を使って、生活者を価値観や潜在意識に基づいてセグメントしている点です。まず健康やウェルネスに関する因子を挙げていったところ、生活系や運動系、情報系、避けたいものなどの因子が16個出てきました。それを近いものでグルーピングした結果、7つのグループができました。
それが、以下の「健康セグメント」です。単純に10年ごとの年代や性別といったデモグラフィック分析したデータでは、価値観が多様化している中で効果的なマーケティングや商品企画を行うのは難しいと考え、こうしたセグメントで分析しました。
「価値観でセグメント」するメリット
――7つの健康セグメントはどのように活用していけば良いでしょうか。
武田:たとえば、従来はグルコサミンを売りたいとしたら、認知率が何%で効能まで理解している人が何%というデータがあり、その数字を上げようと努力していたと思います。しかし、すべての層に向けて認知率を上げても、実際に使ってもらえる人は多くはないと思います。
このレポートでは性別や年齢問わず、価値観や行動様式が近い人たちで分けているので、ターゲットをごとに適切なアプローチや方向性を考えやすくなります。
――ターゲティングと適切な戦略を考えるために使っていけるのですね。
武田:そうです。たとえば「健康コンシャス層の20代から30代女性をターゲットとする」というように、誰を相手にして、どう戦って、どう伝えていくのかというところまで具体化でき、戦術に使えるレポートだと言えます。
――それぞれのセグメントは、どのような人たちで構成されているのでしょうか。
武田:男女比や年代はセグメントごとに大きく違っています。
健康ストイック層は約6割が女性で、その中でも60代から70代の割合が多いです。健康コンシャス層も約6割が女性ですが、健康ストイック層よりも若い人が多いです。一方、まだ大丈夫層は約6割が男性で、健康上の悩みがない若い人たちが多いです。トレーニング大好き層も約6割が男性で、20代から30代が半数近くを占めています。