盲点となりがちな四つの“つまずき”
深田氏によると、多くの企業では購入まで至ったユーザーのデータはあっても、ページから離脱してしまったユーザーのデータは少ないため、原因が見つけづらく対応が難しいそうだ。そこでSprocketの強みであるA/Bテストが活きるという。
「『なぜ離脱してしまったのか』という観点からもA/Bテストを行うことで、企業にとって盲点となりがちなつまずきを探し当てることができるのです」(深田氏)
これまで数多くの企業を支援してきたSprocketが編み出したつまずきは次の四つだ。
1.コンテンツの存在に気づかない
2.コンテンツを見ようと思わない
3.コンテンツに到達できない
4.コンテンツの内容が理解できない
「1は往々にして起こるつまずきで、UIの改善が求められるでしょう。先に述べたログインエラーの事例が2に、ハンバーガーメニューの事例が3に当てはまります。4は新規の商材や体験で起こりやすいつまずきです」(深田氏)
つまずきを経験した企業に見られがちな姿勢として、深田氏は「ユーザーが自己解決できるようなコンテンツを用意することで、解決した気になっている」と指摘。その上で「お客様に任せっぱなしはやめた方がいい」と言い切る。これが二つ目のポイントだ。
ユーザーのストレスをいかに減らせるか
深田氏によると、特に新規ユーザーはトップページを開いても行き先がわからず直帰してしまうケースが多い。
「そこで当社はA/Bテストを実施し、商品点数が多い通販サイトのトップページに『今日はどんな商品をお探しですか』と目的別の案内を書いたポップアップを表示しました。ユーザーの探す手間を省いてあげることで、購入者が増えたのです」(深田氏)
また同社は、アプリのダウンロードを訴求するポップアップでもA/Bテストを実施。「アプリの機能を伝えるもの」と「ダウンロードキャンペーンを告知するもの」の2パターンのクリエイティブで検証を行った結果、前者の方がCTRは高かったという。
「ユーザーに刺さるキャンペーンを実施するためには、ユーザーがアプリの内容に関する前提知識を持っていることが条件となります。しかしながら多くのユーザーは『アプリがあることをそもそも知らない』もしくは『アプリにどんな便利な機能があるのかわからない』などのパターンが多い。つまり、ポップアップではキャンペーンの告知よりも、基本的な情報を伝える必要があるのです」(深田氏)
ユーザーの自己解決が望めなくなった背景として、深田氏はコロナ禍の影響を指摘。ネット利用に不慣れなままサイトを訪問する客層が増えているからだという。またデジタルネイティブといわれるZ世代もストレスを嫌う傾向が強いため、面倒だと感じたらすぐにページを離脱するそうだ。これらの傾向を踏まえ、深田氏は「ユーザーに対して積極的に解決方法を提案し、お客様のストレスを下げていくアプローチ」を勧める。