GEMスコアで日本企業のCMを評価すると?
——日本のCMの評価を教えてください。
コリンズ氏:今回評価したのは、家庭用ビールサーバーのCM、パスタソースのCM、そしてBtoB企業のPRのCMです。
家庭用ビールサーバーのCMでは女性キャラクターは114点、男性キャラクターは119点と、どちらも平均を大きく上回った素晴らしい結果になりました。家庭のなかで親しみやすい存在として描かれていますね。また、男性が女性にビールを手渡して「なぜこのサービスが欲しいのか」を説明するシーンがありますが、それも好印象でした。

パスタソースのCMも女性キャラクター107点、男性キャラクター105点と高い点数で、有名な映画のワンシーンをうまく活用したユニークあふれる良いCMでした。ただ、この映画や俳優を知らない18〜34歳の若い消費者のスコアが低かったので、広告制作前に考慮すべき点だったと捉えています。

最後のBtoB企業もユニークな広告でした。このCMには、日本で親近感の高い女性有名人が登場し、ストーリーはなくタレントが企業名を強調するという作りになっています。支持していたのは男性や35〜54歳の層の方々で、若い世代や女性は低いスコアとなっています。

——これまで20万件の広告を測定してきたそうですが、広告主はその評価をすぐに受け入れたのでしょうか?
コリンズ氏:多くの広告主は「自分たちのスコアはこれくらいだろう」と予測するのですが、実際に出てきたスコアを見て驚きます。なぜかというと企業側には“無意識のバイアス”がかかり、出演されている俳優・女優のロールが男女平等になっていないということがよくあるのです。
