Snapchatはソーシャルメディアの処方箋
──なるほど、興味深い違いです。「いいね」や「コメント」ができるアプリももちろん良い面があると思うのですが、そこと使い分けたいユーザーが増えているということでしょうか?
長谷川:そうですね。「ソーシャル疲れ」という言葉があるように、そういった側面もあると思います。もちろん、キラキラした瞬間を残すメディアも必要だとは思います。でも一方で「あ〜疲れた」という瞬間をシェアするメディアがあっても良い。それがSnapchatなのかなと。
僕たちはSnapchatを“ソーシャルメディアの処方箋”というように表現しています。ソーシャルメディアももちろん必要ですが、それによって疲れたときの処方箋としてSnapchatがある。本当に素の自分を、肩の力を抜いて、本当に仲の良い友達にだけシェアする。そんな「ベストフレンドオンリー」な体験をSnapchatでは提供しています。
実際に、ユーザーの90%は「Snapchatは自分をハッピーにしてくれるアプリ」と評価してくださっています。他のソーシャルメディアだと「見たら反応しなければならない」という思いから通知が負担になるケースもあるようですが、Snapchatは一度見たら消えますし、そもそも反応しなくても良いものなので、そういった面でもアプリに接するときのユーザーの気持ちは異なるのではないかなと思っています。
体験ができ、記憶にも残りやすいAR広告の強み
──続いて、広告媒体としてのSnapchatの特徴についてお聞かせください。
長谷川:Snapchatは本当に仲の良い友達同士のコミュニケーションに力を入れている一方で、「AR(拡張現実)」機能に非常に力を入れているアプリでもあります。コミュニケーションとAR、全然違う2つのように思われるかもしれませんが、レンズなどのARを駆使することで、ユーザーは最も自分の感情を出すことができると言われています。
またARを使うと、記憶に残りやすいというデータもあります。実際、ARを使った広告と使わない広告では2倍くらい効果が異なります。
海外では、Snapchatをあくまで若い世代にリーチできるメディアとして評価いただき、他の媒体でも使っているクリエイティブをそのまま使うという広告主もいらっしゃいますが、Snapchat用にARを使ったクリエイティブを新たに準備した場合のほうが、明らかに効果が高く出ることが見えてきています。
たとえば、メイクブランドのM.A.CではARを使ってリップの試し塗りができるショッピングレンズ機能を展開。気に入ったリップはそのままショップで購入できるプロモーションを展開しました。期間中にリップのお試しレンズは130万回使われ、ブランド認知度2.4倍、購入意向度は9倍になるという結果となりました。
長谷川:グローバルではメイクだけでなく、靴の試着などを展開する広告も増えていますね。家の中で試着できるということで、ユーザーにもかなり人気の機能になっています。
──今年3月に日本オフィスがオープンするなど、今後さらに日本での事業展開に力を入れられていく様子がうかがえます。最後に、Snapchatが日本市場においてどのような展開を見据えているのか、今後の事業展望をお聞かせいただけますか。
長谷川:まずはSnapchat=おもしろ変顔アプリと思われてしまっているケースもまだまだあるので、今日お話ししたようなSnapchatの本来の価値をわかっていただくための啓蒙活動を続けていきます。
またグローバルと同じく、日本でもZ世代が中心ユーザーとなっていくでしょうから、Snap日本法人では大学生インターンとのコミュニケーションにも力を入れています。実際に大学のサークル内で使ってもらったり、一緒に盛り上げていったりする活動をしています。ぜひ今後のSnapchatにご期待ください。
