「ながら聴き」や「長期記憶」など音声ならではの強みを活かす
──続いて、オーディオ広告の特徴・強みについて教えてください。
八木:私たちが音声領域に関わり始めた2018年時点では、音声は動画の劣化版と思われることも多かったです。ですが、最近では動画にはない音声の強みが注目されてきています。
1つ目は、「ながら聴き」ができることです。音声は、家事や運転、作業、スポーツなどとも共存できるので、生活時間の隙間に入り込んで時間を拡張することができます。そのため、オーディオ広告では、ランニングの人にはランニングをテーマにした広告など、シチュエーションターゲティングをすることも可能です。
2つ目は、ストレスが少ないこと。radiko社の調査によれば、オーディオ広告は動画広告よりも、ストレス負荷が少なく、スキップされない傾向があります。そもそもスキップできない仕様であるものも多いですが、「ながら聴き」も影響して、わざわざスキップというアクションを起こさず、広告の完全再生率が平均90%以上と高い結果が出ています。
3つ目はブランド想起や長期記憶に強いことです。たとえば、「博多の塩」の「は・か・た・の・しお〜♪」というテレビCMがありますが、あれは多くの人が昔聴いただけなのに、今でも思い出せますよね。音声が記憶に残りやすいことは体感としても感じられる人が多いでしょう。実際にポッドキャスト広告とディスプレイ広告の効果を比較したブランドリフト調査では、バナーによるブランド認知よりも4倍以上高いスコアが出たという結果があります。
オーディオ広告活用には2タイプある
──広告主がオーディオ広告を活用したいと考えた場合、現状ではどのような方法があるのでしょうか?
八木:大きくは、純広告と、プログラマティック広告やアドネットワークをベースとする広告に大別できます。純広告型に分類されるのは、個別のポッドキャスト、プラットフォーム内の特定番組への出稿などです。純広告は媒体社に問い合わせることで、スポットの挿入型広告、昔ながらのタイアップ型のパーソナリティが読み上げる「ホストリード方式」を選択可能です。
プログラマティックやアドネットワーク型は、データやコンテンツターゲティングに基づいてリアルタイムで買い付けるものです。国内だとSpotify、radiko、ポッドキャストのオーディオアドネットワークが代表的です。
──それぞれの強みや効果的な使い方はありますか?
八木:プログラマティック、アドネットワーク型の場合はデータが使えることが多いので、データに基づいてターゲティングとメジャーメントを行うことで効果を上げていくことができます。
純広告の利点はホストリードができること。つまり、パーソナリティが読み上げる広告のことです。広告効果が一番高いと言われているのがホストリードであり、スポット挿入型と比べると、ニールセンの調査では50%以上高いブランド認知効果が示されています。番組のターゲットセグメントが明確な場合は、ホストリードのほうが効果は高くなると思います。