パワフル&簡単に使えるプラットフォームを目指して
基調講演では、製品のアップデートに関する情報も紹介された。CTOのHyman氏、プロダクト担当でシニアバイスプレジデントのKevin Wang氏によると、Brazeはこの1年で100以上の新機能や機能強化をリリースしたとのこと。これらのアップデートは「パワフルかつ簡単に使えるエンゲージメントプラットフォーム」を目指す方向性のもと行われており、具体的には、「リッチなデータ」「インテリジェンスと最適化」「堅牢なチャネル」の3つの柱で開発が行われている。
ポストCDPを見据えた新機能の発表
2022年時点で企業が収集するデータ量は97ZB(ゼタバイト)になっており、これが2025年にはほぼ倍の181ZBに達すると予測されているのをご存知だろうか。今、企業およびマーケターには、これらのデータをいかに活用できるものにしていくかが求められている。
そんな中、今回のイベントで注目されたのが、クラウドデータ取り込み機能「Cloud Data Ingestion」の発表だ。これにより「データ活用までの手間を削減でき、データ活用がさらに広がる」とHyman氏。実際に、クラウドにあるデータウェアハウスから数クリックでBrazeにデータを取り込むことができ、早期に使用した企業の中には「週に数十時間の時間を節約できた」例もあったという。まずは米国発のデータプラットフォーム「Snowflake」からサポートを開始し、今後「AWS Redshift」「Google Big Query」にも対応していくとのこと。このアップデートは、ポストCDPに向けた一手と見ることができる(ポストCDPについて、詳しくは次ページを参照)。
このほかにも、データソースとの接続を容易にする「Braze Data」、Brazeに表形式のリレーショナルデータを保存し、フィルタリングなどが可能になるBraze Dataの機能「Catalogs」なども発表された。
WhatsAppとの提携も発表、2023年にはLINEも対応か?
もう1つ、「FORGE 22」の目玉となった発表が、WhatsAppとの提携だ。
WhatsApp(米Meta傘下)は、米国・欧州で広く使われているメッセージングプラットフォーム。利用者は世界20億人で、毎週10億件以上のメッセージがやり取りされている。本リリースの2023年初旬以降、Braze顧客はクロスチャネル戦略の一部にWhatsAppを入れることができるようになる。
なお、Braze日本法人で最高技術&プロダクト責任者を務める新田達也氏によると、LINEもBrazeの製品ロードマップに入っているとのこと。現時点では2023年頃に対応を予定しているという。日本法人 代表取締役社長の菊地真之氏は「日本法人ができたことで、日本企業のニーズもくみ取れる体制ができている」と話す。日本法人ができて2年目を迎える段階だが、日本でユーザーが多いTresure Dataとの連携など、日本市場向けの機能も既に実現されている。
アワード受賞のバーガーキングは、アプリ施策を様々展開中
3日間にわたり開催された「FORGE 22」では、Braze顧客企業によるセッションも行われたほか、Brazeの年次アワード「Torchie Awards」の各賞も発表された。
「Braze Brand of the Year」に輝いたのは、Burger King。Burger Kingはモバイルアプリの利用を促すために、Brazeを用いて様々な施策を展開している。たとえば、アプリユーザーに購入を促す施策として、インタラクティブなゲームを開発しアプリ内で提供。アプリ内メッセージ、電子メール、プッシュ通知により、ユーザーをゲームに誘導した。加えて、各ユーザーに関連性のあるメッセージを適切なタイミングで発信したという。このキャンペーンの期間中、21万人のユニークユーザーがゲームをプレイし、うち75%がゲームプレイ後1日以内に商品を購入。商品購入のフリークエンシーも19.5%改善したそうだ。
なお、Burger Kingが使用するCDP(mParticle)、プロダクトアナリティクス(Amplitude)とBrazeの連携による、プロモーションの精度向上もこうした成果に影響している。
