「ブランド価値評価」の仕組み
――では、「ブランド価値評価」の仕組みを教えていただけますか?
ブランド価値評価では、「1:財務分析」「2:ブランドの役割分析」「3:ブランドの強度分析」の3つの分析を行います。この3つのスコアを掛け合わせて、金額換算でブランド価値を算出するというのが、基本的な仕組みです。冒頭でお話しした通り、インターブランドには「ブランド価値は経済的価値に紐づくものである」という考え方があるので、「財務」の要素もしっかり押さえています。


「ブランド価値評価」3つの分析概要の解説
以下、簡略的であるが、財務分析、ブランドの役割分析、ブランド強度分析の概要をそれぞれ解説する。
1.財務分析
財務分析では、向こう5年程度の「エコノミックプロフィット」を算出する。エコノミックプロフィットは、監査法人による無形資産価値の評価でも用いられている一般的な利益であり、公開されている財務情報から誰でも算出可能。

2.ブランドの役割分析
財務分析を踏まえ、ブランドの役割分析を行う。前提として、算出された「エコノミックプロフィット」には、様々な要素が影響し合っていることが考えられる。たとえば、顧客の購買要因には、プロダクトの価格や品質、機能性能、デザインなど複数の要因がある。ブランドの役割分析は、「そのうちどれくらい『ブランド』が購買要因になっているか?」を分析するもので、具体的にはブランドが占める購買要因の割合を算出する。
このとき、「ブランド」が効く業種業態があれば、相対的に「ブランド」が効かない業種業態もある。業種業態による偏りをならすために、ベンチマーク調査分析を行うが、ここではインターブランド社が過去1万件以上の分析実績から導き出した独自指数が用いられる。

3.ブランド強度分析
ブランドの役割分析をもとに算出した「ブランドによる儲け」が、どのくらい確実かを分析するのが「ブランド強度分析」である。ブランド価値が将来にわたって、毀損することなく成長していくことを確認する10の要素があり、各項目を10段階でスコアリングし、その合計をブランド強度スコア(0~100)として算出する。このとき、各項目の評価は競合他社や業界の衰勢に照らして相対的に行われる。
