動画視聴時間の増加にともない広告市場も成長
──宇津井さんの現在の業務内容や経歴を教えてください。
私は広告営業部隊の統括をしています。同部隊のミッションは「InstagramやFacebook広告を通してクライアント様のビジネス課題の解決やビジネス拡大のサポートをすること」です。私は事業会社出身で、消費材メーカーではブランドマーケティングを、テック系のスタートアップ企業では新規の顧客獲得を目指すマーケティングを経験してきました。
──様々なお立場から広告ビジネスに長く従事していらっしゃるのですね。そんな宇津井さんが今、注目している広告手法について教えてください。
今、クライアントからの問い合わせが多いのは動画広告ですね。ご存じの通り、動画広告市場は近年伸びてきています。そして、当社では動画プラットフォームごとの視聴時間に関する調査を実施しました。その結果、Instagramは2位にランクインしています。以前は「インスタ映え」という言葉がある通り「Instagram=静止画をシェアするSNS」というイメージが強かったと思いますが、今は動画プラットフォームとしても利用者の皆さんに認識されつつあります。
広告は「見てもらう」のではなく「楽しんでもらう」
──次に動画広告の潮流について伺います。「コンテンツは見たいけれど、広告は避けたい」というのが一般的な視聴者心理かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
当社の調査では、動画プラットフォーム全般で「コンテンツ量に対して広告が多すぎる」「妙なタイミングで広告が表示される」など、6割以上の人が広告体験に対して不満を抱いていることがわかっています。
動画広告を「見ない」「スキップするもの」という認識は今に始まったことではありません。テレビCMをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。見ていた番組の途中でテレビCMが流れると、席を立ちますよね。その傾向は今も昔も変わりません。新しい動画媒体が出てきただけで、動画と動画の間に挟まる広告を「早く飛ばしたい」という視聴者感情は継続しているのです。
なぜなら視聴者が「見たい」と思っているものと、提供される広告の内容が合っていないからです。動画コンテンツを見に来ているのに、見たくもない広告が途中で入り込んでくると、広告は邪魔者扱いされてしまうわけです。媒体によってはユーザーに視聴を強制させるものもあります。その結果、仮に認知やリーチは増えても、購買などのアクションにはつながりにくいはずです。
つまり、広告を“楽しんでもらうこと”が何より重要なのです。当社が行った調査によると、InstagramとFacebookに限っては広告を「楽しんでいる・気にしない」と回答した方が6割以上を占めていました。