TikTokも重点的に活用! モノよりコトを重視するマーケティング戦略
──ビアボールのマーケティングは、テレビCMからSNSまで幅広く展開されています。戦略の大きな方向性を教えてください。
ビアボールのマーケティングでは、商品特徴である「自分好みにつくる」という体験をいかに広げていくかを重視しています。従来のビール製品の広告は、そのモノの特徴やおいしさを訴求するものが多かった。ですが、モノより「コト」を楽しみたいというニーズは、先述のMZ世代のインサイトからもわかるとおりです。これを踏まえ、「自由にビールをつくる」という体験価値を軸に置き、マーケティング戦略を策定しました。テレビCMやSNSのクリエイティブでも、ここを一つの訴求ポイントとしています。
また、飲食店様と一緒に、ビアボールの啓蒙活動も行っています。まずは飲食店でビアボールを認知してもらい、その後に家庭でも楽しんでもらう。この2段階で戦略を考えました。今回、テレビCMでは「ネオ居酒屋」を舞台にしていますが、この設定はチーム内で議論しこだわりを持って決めたものです。昔ながらの親しみがありながらも、新しさを体験できる場所=ネオ居酒屋であるとして、ここで若い世代がビアボールを楽しむシーンを描きました。
──MZ世代をメインターゲットにされているということで、TikTokを活用したコミュニケーション施策にも注力されていますね。
TikTokでは、短尺でいかに魅力を伝えられるかが求められます。“味”や“喉ごし”を訴求ポイントに置くことが多い通常のビール製品だと、なかなか短尺でうまく魅力を伝えるのが難しいなと感じていました。ですが、ビアボールには「つくる」という工程があり、これならいろいろなクリエイティブ表現が可能になる。MZ世代をメインターゲットにしていることもあり、ビアボールはTikTokと相性が良いだろうと考え、TikTokも積極的に活用したコミュニケーションを展開しています。

──家庭用の発売から数ヵ月経ちましたが、手応えはいかがですか?
想定以上にお客様が価値を感じてくださっているなと感じています。今回、我々がビアボールで実現したかったのは、「それぞれが好きな味わいや濃さで自由につくる、ビアボール1本でみんなが楽しめる」というビールの新しい楽しみ方です。SNSを中心にお客様の様子を見ていると、まさにそういった光景をよく目にします。カップルや家族、友人同士でビアボールを分け合い、その空間や食事、会話を楽しんでくださっている。これは、我々としては非常に嬉しい光景です。