ビール市場、ひいては酒類市場の再活性化を目指して
──ビール市場では、クラフトビールが人気を集めるという方向でも多様化が進んでいますが、ビアボールは「飲み方を変える」という切り口で多様化に挑んでいる点がおもしろいです。
これも今の若年層の声から生まれたアイデアだと思います。確かに今、クラフトビール市場は伸びていますし、ビールの新しい楽しみ方の一つになっています。ただ、クラフトビールはやはり玄人向けなんですよね。ある学生が「ビールには初心者向けのエントリーポイントがない」と話していたのですが、まさにそのとおりです。これからお酒を飲み始める若い世代や、ビールにまだあまり馴染みのない方々にとっては、クラフトビールは少し挑戦的で手を伸ばすにはハードルが高い。ですので、ビアボールは「ビールへのエントリー」という立ち位置も担っていると考えています。ビアボールの飲用を機にビールに興味を持ってもらい、好きになる。そのような流れをつくることができればと思っています。

──ビアボールは、ビール市場に新たな風を吹かせる存在となりそうですね。最後にこれからの展開や目標をお聞かせください。
大きくは我々が掲げている「ビール市場の再活性化」「酒類総市場の再活性化」を実現していきたい。そのとき、ビアボールがその一助になればよいと強く思っています。ビアボールで、ビール市場という酒類ナンバーワンカテゴリーを引っ張る覚悟です。まだ発売開始から数ヵ月なので、2023年はより多くの方にビアボールを届けられるような活動をしていきます。
そして、サントリーが大切にしている価値観として「やってみなはれ」というものがあります。まさにそのチャレンジ精神を持って、私はいつも真剣に“おもしろいこと”を考えていますし、私は「おもしろいか、おもしろくないか」という判断基準は非常に大事だと思っています。モノがあふれ、需要より供給が上回る中では、商品とファクトだけで手に取ってもらうことは難しい。つまり、エモーショナルで情緒的なところを訴求する必要があります。そういった方向性で差別化をしていくには、まずは我々側が本当に「おもしろい」「楽しい」という気持ちを持っていないと、お客様にも伝わりません。「やってみなはれ」の精神を大切に、これを通してお客様に新しい価値を提案していきたいと思います。