取り組みやすく成果の上がるコンテンツとは?
オウンドメディアを運営するうえで取り組みやすく、成果の上がるコンテンツとは、どのようなテーマが最適なのだろうか。その答えについて佐藤氏は「ずばり事例です」と指摘。2017年から2022年の6年間、1年間のうちGoogleで「事例」というキーワードが最も多く検索された月は5・7・10・12月だったと語った。

「一般的に製品の導入検討フェーズや予算化のフェーズで、事例というキーワードの検索が増えることが判明しました。さらに分析すると、社会課題系のキーワードと同時に検索されていることもわかりました」(佐藤氏)
一方で「導入事例」というキーワードは、事例に比べると検索ボリュームは多くないものの、特定のジャンル・カテゴリーの用語と組み合わせた形の検索が多いことも明らかになった。
選定理由が明記された導入事例はニーズが高い
GAXマーケティングは2023年1月、アイティメディアと共同でアイティメディアの読者会員を対象に「製品・サービスの導入検討に関する調査」を実施した。その中で「製品やサービスの導入検討の情報収集段階で、最も読みたいコンテンツは何か」を尋ねたところ、3位に「導入事例(66.9%)」がランクインした。

さらに比較検討段階で読みたいコンテンツを聞いたところ、トップの「技術解説(55.7%)」に続き、2位に「導入事例(52.0%)」が入った。

導入事例には、どのような顧客がどのような課題を抱え、どのように解決したのかが書かれている。しかし選定ポイント、すなわち「なぜその製品の導入を決めたのか」は書かれていない事例も少なくない。読者が求めるのは選定理由であり、佐藤氏は「選定理由を明確に記したコンテンツはニーズが高いと考えます」として、こうしたコンテンツの制作に取り組んでいくことが重要だと示した。
セッションの最後に両氏は、コンテンツマーケティングの重要性と可能性を示しセッションを締めくくった。
「コンテンツマーケティングは、机上で終わりがちなマーケティング活動の理想を、スモールからPDCAを回しつつ実現できる、つまり仮説/戦略と実行/手段の乖離が少ないのです。コンテンツマーケティングこそマーケターが持てる自由でコントローラブルな打ち手の一つだといえます」(野島氏)
「またカスタマージャーニーを作り、それに付随する形でコンテンツを作るケースも少なくありません。しかし私がおすすめしたいのは、カスタマージャーニーに入るきっかけ作りとしてのコンテンツマーケティングもあわせて行っていくことです。改善を重ねることで、より確度の高いタッチポイントを増やすことができます」(佐藤氏)