KINTOが単独協賛したオリジナル番組『褒めゴロ試合』
TVer広告の成長を後押ししている要因として、もう一つ考えられるのは、従来のテレビCMやインターネット動画広告の形に囚われない、TVerならではの斬新な広告企画が可能な点だ。たとえば、TVer完全オリジナルの番組『褒めゴロ試合』では、KINTOが1社単独で協賛。動きのある形で提供を表示したり、番組タイアップのインフォマーシャルを配信したりと、新たな試みがいくつも行われた。
カンファレンスでは、KINTO代表取締役社長の小寺信也氏と、TVer 取締役 COO 蜷川新治郎氏のトークセッションも行われ、小寺氏は広告媒体としてTVerを選んだ理由を次のように語った。

【右】株式会社TVer 取締役 COO 蜷川新治郎氏
「KINTOは、2019年にトヨタが開始した車のサブスクリプションサービスです。当初はサービスの認知度を上げるために、佐藤浩一さんや菅田将暉さんを起用したテレビCMを展開し、とにかくサービス名を訴求することに力を入れていました。最近はサービスの認知度も上がってきたので、サービスの理解向上に取り組んでいます。TVerは広告をスキップできないこと、テレビ以上に主体的にコンテンツを見ている視聴者が多そうなことから、視聴者と密度の濃いコミュニケーションを図れるのではないかと考えました」(小寺氏)
蜷川氏は、TVerの強みとして、インターネット広告では珍しく広告がスキップできないことに加え、テレビ局が制作している質の高いコンテンツが揃っていること、広告主が伝えたいメッセージに寄り添ったコンテンツ制作ができることなどを紹介した。
「今回、KINTO様との取り組みでは、コンテンツとCMの両方をTVerで制作させていただきました。従来のテレビ放送では成し得なかった新しい広告表現にトライし、新しい形の広告価値を提供することができたのではないかと思います。今後も、ユーザーにとって有益であることを前提に、広告主様のメッセージもしっかり伝えられるメディアを目指していきます」(蜷川氏)
CTVでの利用は地方のほうが多い?関東圏と地方ユーザーの違い
カンファレンスでは、関東圏と地方における利用動向の違いについても共有があった。TVerでは、在京在阪だけでなく、全国の放送局やBS局の番組も数多く配信している。意外なのは、地方ユーザーのサービスの利用度が高い点だ。
まず、TVerユーザーのエリア別比率は、関東エリアが38%。人口構成比が33~34%であることを踏まえると、関東エリアのユーザー比率がやや高めの傾向であるものの、基本的には全国どのエリアでもバランスよく視聴されている。
一方、コンテンツの再生回数に占めるCTV率をエリア別に見ると、CTVで再生・閲覧する率が一番低いのは、実は東京。1人当たりの平均視聴本数、平均視聴エピソード数も東京、関東エリアが少し低めに出ており、一番多い四国エリアでは、東京エリアより13~15%高い数値が出ている。つまり、関東エリアに限らず全国的に広くTVerの利用が拡大しており、特に地方ユーザーは頻度高くテレビでTVerを利用していることがわかる。広告においても、現時点では関東の広告会社が圧倒的に多いが、この1~2年で地方の広告会社との取引が増えているそうだ。
カンファレンスの最後には、TVer 代表取締役社長の若生伸子氏が登壇し、次のように締め括った。

「現在、TVer広告で取引している広告会社の数は244社、広告主が656社あり、広告セールスも堅調に推移してきました。Amazon Fire TVシリーズにTVerボタンが搭載されるなど多くのデバイスにも対応しながら、サービスにおいてもユーザーニーズに即したCTVの環境を整えています。これからもユーザーに選ばれるプラットフォームとして充実を図りながら、各クライアント様のグロースにもいかに貢献できるかという視点を持って、TVerとしての提案をしていきたいです」(若生氏)