来店数は増加し集まる共感と応援の声
──表明文を読んだ広報・マーケティング関係者からは「完璧な対応」と称賛する声が多数寄せられていました。あの文章はSoup Stock Tokyoという人格が企業理念に対して誠実であり続けた結実だったのですね。
「世の中の体温をあげる」とは、誰かに優しく接することだと私は考えています。相手に優しく接すると、自分も優しい気持ちになりますよね。相手がそのことを違う誰かに伝えれば、違う誰かも優しい気持ちになるでしょう。「Soup Stock Tokyoで優しい気持ちになったから、今日は誰かに優しくしよう」と思えるエコシステムを私はつくりたいのです。
──全店で離乳食後期の無料提供を開始してから間もないですが、店舗の様子に変化は見られましたか。
お客様の数はありがたいことに増えています。小さなお子様連れのお客様もそれ以外のお客様も、以前と変わらず足を運んでくださっている印象です。SNSでは「無料の離乳食だけを目当てに来店する人が現れるのでは」などと懸念する声も見受けられましたが、実際には「子供が味を気に入って完食したため、おかわり(有料)を注文しました」「通販でまとめて購入しました」という嬉しいメッセージを頂戴しています。
本社にはほかにも共感と応援のメッセージが数多く寄せられています。中には「騒動を見て心配になって来ました。これからもSoup Stock Tokyoに来ます」とパートナーに直接声をかけてくださるお客様もいらっしゃいました。まさに優しさの連鎖が生まれていて、誇らしいと同時に「もっと成長しなければ」と身の引き締まる思いです。
社長室に置かれた手紙と社内の体温
余談ですが、私自身の体温が上がる出来事もありました。表明文を公開した翌日、社長室のデスクにメッセージカードが置いてあったのです。「私たちの思いをちゃんと伝えてくれて、ありがとうございます。社員一同」と書かれてあるのを読んだ時は、思わず涙が出てしまいました。
また、過去に子供を連れて訪れた飲食店で大変な思いをした社員からは「当時の私にSoup Stock Tokyoが素晴らしいサービスをスタートすること、そんな素晴らしい企業が将来の自分の勤め先になることを教えてあげたい」と言われました。お客様だけでなく、社内のメンバーに対しても理念が届いた手ごたえを感じましたね。
──素敵なエピソードです。最後に、今後のチャレンジを教えてください。
頂戴した数多くの共感・応援メッセージを読み、「Soup for all !の推進ピッチをさらに上げなければ」と感じました。たとえば、ルミネ立川店限定で提供している咀嚼配慮食と同様のスープを、ECサイトでもサブスクリプション型のサービスとして提供することにより、さらに使いやすくしたいと考えています。
もちろんそれだけでなく、食事をとる時間がない多忙なビジネスパーソン向けにオフィスまでスープを届けるサービスや、冷凍スープを扱う自動販売機の開発、ECの強化など、様々な方の利便性向上に取り組んでいきたいです。目の前のお客様の体温を上げることで、私たちもまた頑張ることができます。理念を実現するため、とにかく行動し続けるのみです。

