ローカライズした丁寧なマーケティングを
──東南アジアでもSNSは重要なマーケティングチャネルだと思います。日本と東南アジア諸国でアクティブに使われているプラットフォームや、その使われ方はどう異なりますか?
ソーシャルメディアエージェンシーのWeAreSocialが発表したデータを基に、各国で使われているSNSをユーザー数の多い順でランキング形式にまとめました。
日本ではLINE、Twitter、Instagram、Facebookの順ですが、タイは1位がFacebook、2位がLINEです。シンガポールやマレーシアにおいては1位がメッセージアプリのWhatsAppで、2位がFacebook。インドネシアも同じく1位がWhatsAppですが、2位はInstagramです。ベトナムとフィリピンでは1位にFacebookがランクインしています。ベトナムで2位の「Zalo」は、地元のIT企業が開発したモバイルメッセージアプリです。
最近注目しているのは、ここ3年ほどで急激にユーザー数を伸ばしているTikTokです。当社はタイにおけるTikTok社の正規代理店であるためユーザーの属性を見ることができるのですが、特に20代と30代のユーザー数が飛躍的に伸びています。
──日本企業が東南アジアからの訪日客にアプローチする場合、どのような手段が有効なのでしょうか?
各国で使われているSNSをはじめ、現地の人々の手が届く場所に情報を置くことが大切です。インフルエンサーを起用した施策や広告運用などのプッシュと、情報を能動的に取りに来る人へのプル。この2つを軸としつつ、国による文化・歴史・商習慣の違いを正確に捉える姿勢が求められます。
先に述べたとおり、タイやシンガポールでは少子高齢化が始まっていますが、他の国では平均年齢が20代であり、ボリュームゾーンも様々です。「どの国の誰に何を届けたいか」を整理し、マーケットの性質を理解した上で対象を精緻に定めること。マーケティングの基本的なプロセスですが、このプロセスを丁寧に行うことが東南アジアというマーケットで商機を見出すにあたって重要だと思います。