生成AI活用に向けた四つの支援ステップ
MZ:今回、伊勢市役所の生成AI活用プロジェクトにおいて、TENHOとデジタルシティオキナワがサポートすることになった経緯を教えてください。
奥田(伊勢市役所):デジタル推進本部のワーキンググループ立ち上げにあたり、私自身もChatGPTについて学ぶ必要があると感じました。そこで「日本リスキリングコンソーシアム(Google主幹事)」の各種講座のうち、とあるChatGPT講座を受けたのですが、資料の内容が非常にわかりやすくて。その講座の提供企業がTENHOさんだったというわけです。
MZ:今後、TENHOとデジタルシティオキナワで想定している支援のステップを教えてください。
児玉(TENHO):我々は大きく四つのステップを想定しています。第一ステップは「セミナーと活用ワーキングの実施」です。セミナーでは「そもそも生成AIとは何か」「どんな種類の生成AIが存在するのか」をはじめ、業務活用における課題や注意点まで、一から学んでいただきます。その後、活用ワーキングで伊勢市役所様の課題をヒアリングし、最適な導入法を設計します。
現場の生成AI理解が深まるほど、支援の幅も広がる
児玉(TENHO):二つ目のステップは「ガイドラインの作成」です。誤情報の発信や情報漏洩、著作権法への抵触などを未然防止するためには、ルールを明確化することが欠かせません。現在、伊勢市役所様への支援はこのフェーズにあります。
三つ目のステップは「“問い”のサポート」です。たとえばChatGPTの場合、使用者が適切な質問を投げかけないと、有効な解は得られません。そのため生成AIを使うのが得意な人と不得意な人の二極化が起こり、組織全体の活用推進が滞ってしまうのです。そこで、様々なシチュエーションに対応した「問いのテンプレート」を当社が用意することで、生成AIを初めて使う人でも利用しやすくします。
四つ目のステップは「当社の既存ツールの提供」です。LINEやFacebook Messengerなど既存のチャットツールに、生成AIを導入した独自のチャットボットを組み込みます。このチャットボットによって、AI活用の社内浸透やAI人材の教育が自動化されるわけです。チャットボットには、クライアント独自のマニュアルやサイトのQ&Aなどを情報ソースとして紐づけることが可能です。この四つのステップを三ヵ月以内に行うことを我々は目標に掲げています。
MZ:四つのステップを進めるにあたり、特に意識されている点があれば教えてください。
宮村(デジタルシティオキナワ):我々が最も重視しているのは、クライアントの生成AIへの理解を深めることです。現場の人たちが生成AIの活用法を理解すればするほど、我々の提供する支援の内容やその可能性も広がると考えています。