2022年最も話題にされたSDGsトピックスは?
まず、2022年に話題にされたSDGsトピックスを通してアクションヒントを探ってみよう。X(旧Twitter)上のSDGs話題量は、2017年以降年々増加。2022年には最大量となった。
変遷を見ていくと、2019年までは、有識者が話題に取り上げる“専門性の高いトピックス”であったが、2020年レジ袋有料化など世の中のSDGsアクションが増加。2022年にはテレビなどマスメディアで頻繁に取り上げられるようになったことから、様々な人が話題にするようになったのだ。

最大量となった2022年、SDGsの話題の中でどんなトピックスが最も注目されていたのだろうか? 「SDGs17の目標」を細かくキーワードに分解し、それぞれの話題量を2020年・21年・22年で分析した。

その結果、「12.つくる責任 つかう責任」が増加率・話題量ともにダントツ1位に。次点の「4.すべての人に質の高い教育を」や「13.気候変動に具体的な対策を」を大きく引き離して注目されていることがわかった。
この「12.つくる責任 つかう責任」の中でも、話題の過半数を占めたのが食品廃棄物だ。コロナ禍で売れない食料品の話題が活発になっていたことや、2021年東京五輪でお弁当が大量廃棄されたニュース、「食」という実生活に身近なトピックスであったことなどが起因して急増したと想定される。

食品廃棄物の話題から見えたSDGsアクション加速のヒントとは?
特定の話題をソーシャルリスニングしていくと、「批判」と「共感」の2種類に分けられる。これらの中には、批判には【アクションを阻むハードル】を読み解くヒントが、共感には【アクションを加速させるブースター要素】を発見するヒントが隠れている。
今回の食品廃棄物に関する話題では、6つのハードルと4つのブースター、合計10のヒントが見えてきた。いくつかご紹介しよう。

アクションハードルとしてまず注目したいのは、「映え文化」だ。写真映えを求めるがゆえの、来店客・店舗側の姿勢に対し、食品廃棄物に関する声が見られた。
見た目にインパクトがある、ボリュームありすぎな食べ物。完食したことがない
写真撮るだけ撮って、食べ残すのをやめてほしい
パセリもお飾りだけで、終わったら食品ロス
SNSの時代、来店客を増やすために“料理の見栄え”は重要な要素となっているものの、「食べ切れる範囲で装飾すること」は意外と重要な視点であるようだ。これとは逆に、飲食店で食事の「量の選択肢の少なさ」について悩む声も多く見られた。
同じ金額払っても良いから、6割くらいに減らしてほしい
持ち帰っていいか、聞きづらい
店舗側からは、衛生面の懸念の声も見られた。
衛生面を考えたら、簡単にお持ち帰りどうぞと言えない
残したくない来店客や、残してほしくない店舗側ともに、同話題への対策を迷っていることが見て取れた。
次に、「とりあえず買い」について。買い物時「お買い得シール」が貼られた商品を“とりあえず”買った経験がある人は少なくないはずだ。
食品ロスが多いのは、労働時間が長すぎるせいだと思う
納豆のストックがどれくらいか、いつも忘れて、買いすぎたり買い忘れたり……
仕事や、趣味、子育て、勉強などを両立する忙しい時代。フードロス削減を念頭に、緻密に献立を考えて買い物計画を立てるのは、そう簡単ではない。これも現代ならではのハードルと言えそうだ。
上記のように過剰な盛り付けや量の選択肢の少なさなど、サービスサイドの工夫で多少軽減できそうなこともあれば、「とりあえず買い」のように現代人全体を悩ませるハードルも見受けられた。