エリクシールが行った、CRMのKPI設計
では、具体的には、どのようなKPI設計が行われたのだろうか。
それまでエリクシールでは、「商品軸」でコミュニケーション施策を行うことが多かった。商品軸のコミュニケーションとは、たとえば新商品が出た時に「どのようにしてその商品を顧客に受け入れてもらうか」を考えるようなもので、CRMにおいては商品のリピートやクロスセルを狙うことになる。
こうした商品軸でのKPIはそのままに、エリクシールでは新たなKPIとして「顧客軸」を追加。顧客のステージに応じたコミュニケーションを図れるよう、会員ランク(レギュラー、ブロンズ、シルバー、ゴールド)を設け、各ランクからツリー状に枝分かれさせる形でKPIを設定していった。
これにより、より顧客を細かく見ることができるようになったと小暮氏。さらに、商品と顧客の2軸で課題を見られるようになったことで「次に何をすべきか、施策の足し算と引き算で明確に考えられるようになった」と話す。
態度変容を促すキードライバーをいかに見つけるか?
続いて、本題の顧客とのコミュニケーションについて、どこに着目し、どのような改善を行ってきたのかが紹介された。
着眼点について、小暮氏は「お客さまの態度変容を促すキードライバーを見つけることを重視した」と述べる。具体的には、「購買行動など何らかの態度変容、認識変容が起こる時、複数の要素が組み合わせって起こることもあれば、1つのキーになるような要素が購買を促すこともある。どのような要素をオファーすることで、どのような変容が起きるのかを見つける作業を行なった」と補足した。
小暮氏の話を受け、藤掛氏は「マーケターの勘と経験でやってしまいがちな部分だが、データを基にキードライバーを捉えることは重要。これにより、顧客のニーズやペインなどの大きなキードライバーを発見することができる」とする。
CRMコミュニケーションとして実際に検証した事例を紹介したのは、エリクシールの支援を担当しているブレインパッドの児玉氏。児玉氏は、足し算をすることで成果の上がった施策と、逆に引き算をしてみることで成果が出た施策をそれぞれ紹介した。