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ブランディング先進企業に学ぶ、マーケティング戦略としてのブランディング

普通の人もできるのがマーケティング。Uber Eats Japan代表が語る「戦略的思考」の育て方

 書籍『ブランド・パワー ブランド力を数値化する「マーケティングの新指標」』の著者・木村元による対談連載「ブランディング先進企業に学ぶ、マーケティング戦略としてのブランディング」。この連載では、著者が本書を執筆する上で影響を受けてきた方やブランドマーケティングの進展を考える上で話をしてみたい方と、対談を重ねていきます。第1回は、Uber Eats Japan代表の中川晋太郎さんを訪問。ユニリーバ時代の著者の上司でもある中川さんには、前編で「Uber Eatsのブランドマーケティングについて」、後編で「マーケターのスキルアップについて」お話を伺っています。

マーケターの成長性は「戦略的思考」に左右される

木村:僕がユニリーバ・ジャパンでLUX(ラックス)のマーケティングを担当していた時、当時上司として色んなことを教えてくださったのが中川さんで。今の自分があるのは本当に中川さんのおかげなんです。後編では昔話も含めながら、中川さんのマーケティングにおける視座を改めて学ばせていただきたいと思っています。

株式会社Brandism 代表取締役 木村元氏ユニリーバ・ジャパンに2009年に入社。約14年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360度のプロモーションからグローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にて、ダヴヘアのグローバル全体のブランド戦略をリード。その後、ユニリーバ・ジャパンでのスキンケアカテゴリー統括とグループ子会社のラフラ・ジャパンの代表取締役を兼任し、PMI後のV字回復を達成。2021年より株式会社Brandismを創業し現職。BtoBからBtoCまで、国内外の多様なクライアントのブランド戦略立案や経営戦略を支援。
株式会社Brandism 代表取締役 木村元氏
ユニリーバ・ジャパンに2009年に入社。約14年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360度のプロモーションからグローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にて、ダヴヘアのグローバル全体のブランド戦略をリード。その後、ユニリーバ・ジャパンでのスキンケアカテゴリー統括とグループ子会社のラフラ・ジャパンの代表取締役を兼任し、PMI後のV字回復を達成。2021年より株式会社Brandismを創業し現職。BtoBからBtoCまで、国内外の多様なクライアントのブランド戦略立案や経営戦略を支援。

 さっそく元部下として最初の質問なのですが、これまで何百人ものマーケターなり部下なりを見てきて、ずばり成長していくマーケターってどんなマーケターだと思われますか?

中川:色々な要素があると思いますが、やはり一番には「戦略的思考ができる人」だと思います。戦略的思考が強い人と言ってしまうと元も子もない気がするので、戦略的思考を身に着けたいと思っている人、と言うほうがよいでしょうか。

 よく「右脳派」「左脳派」みたいな感じで、マーケターを二分して語ることがありますが、僕の中では、右脳も左脳もありません。広告を作る前の工程として、基本的な戦略構築の部分を愚直に丁寧に行えるか否か――ここの戦略をしっかり練られる人は、マーケターとして成長していく傾向があるように思います。

Uber Eats Japan合同会社 ゼネラルマネージャー 中川晋太郎氏P&G でブランドマネジメント担当としてキャリアをスタートさせた後、事業再生支援会社を経て、 2009 年にユニリーバ・ジャパンに入社。ヘアケア商品のマーケティング責任者を経て、 2016 年からは同社ホーム&パーソナルケア部門のディレクターとしてマーケティングを統括。2021年1月の Uber 入社後、モビリティとデリバリーの両事業におけるマーケティング活動を統括し、2022年9月に Uber Eats Japan の暫定代表に就任。2023年2月より現職。
Uber Eats Japan合同会社 ゼネラルマネージャー 中川晋太郎氏
P&G でブランドマネジメント担当としてキャリアをスタートさせた後、事業再生支援会社を経て、 2009 年にユニリーバ・ジャパンに入社。ヘアケア商品のマーケティング責任者を経て、 2016 年からは同社ホーム&パーソナルケア部門のディレクターとしてマーケティングを統括。2021年1月の Uber 入社後、モビリティとデリバリーの両事業におけるマーケティング活動を統括し、2022年9月に Uber Eats Japan の暫定代表に就任。2023年2月より現職。

 たしかに、センス勝負で勝てることもあると思うんです。ただ、センスで勝負して勝てる人は、言ってしまえばそれで勝ててしまうので、それ以上は伸びにくいのかなと。

木村:Howではなく、より上流の戦略部分が重要であるということには深く同意です。恐らく僕も中川さんも同じ考えだと思うのですが、僕は、優れたマーケターとは戦略を描けるか否かではなく、戦略構築の工程をやり切れるか否かに分かれ目があると考えているのですが、中川さんから見るといかがですか?

中川:そうですね。戦略の部分を愚直にやり続けられる人は少ないかもしれないですね。

 自分がやってきたマーケティングの良し悪しは置いておいて、僕は自分がマーケターとしての特殊能力を持っているとはまったく思わないんです。普通のことをちゃんとやっているだけですから。でも、普通のことをやり続けるのは、たしかにけっこう大変だとも思います。

 面倒くさいんですよね、(広告コミュニケーションを企画する度に)毎回考えなければならないことが増えますし、毎回考えたとして結果はそんなに変わらないかもしれないですし。なんですが、ここをやり続けることで、コミュニケーションの効率が大きく変わってくることも事実です。

木村:この戦略構築というのは、要はWHO/WHATやSTP分析などを指していると思いますが、僕はそこの重要性に気が付くまでに時間がかかったタイプです。セグメンテーション(WHO)が甘くて、中川さんによく指摘されていましたから。当時よく言われていたのが「とにかく(基本を)やってみなさい」みたいなことだったと思います。

中川:よく質問していた記憶はありますね。提出されたブリーフ(コンセプトの設計書)が何だかパッとしない時に「これ(このセグメント)は、どういう人なの?」と。

 先のほうで面倒だと言いましたが、WHO/WHATが明確になっている状態でことを進めるほうが絶対にラクなんです。人間はすべからくラクなほうに流れやすい生き物ですから、「戦略をしっかり設計したほうがラクだ」と実感できればいいわけですよね。なので、「1回だとわからないから、騙されたと思って(基本のフレームワークを)3回やってみてください」ということはよく言っていたと思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43951

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