周囲の人との共感・共有が魅力的なDM作りのカギ
MZ:第38回のDM大賞において、多くの審査員から評価される“魅力的なDM”にはどのような特徴がありましたか。
馬場:職場や家族などの周囲の人たちと一緒に楽しめる設計になっていることや、ストーリー仕立てとなっているかどうかが、魅力的なDMのポイントだと感じています。
たとえば、今回評価が高かった、福島県にあるスパリゾートハワイアンズのDM。施設をRPGの世界に見立て、施設内の各アトラクションを「スペシャルミッション」と題して、家族で巡りながらクリアしていくといった内容でした。
馬場:他にも、TOPPANエッジが行った「すごろくのDM」も印象的でした。周年イヤーを数年後に控えた企業に向けてゴールを周年イヤーイベントに据えた「周年すごろく」をDMとして送付したもので、すごろくの各マスにはゴールに至るまでに必要な業務や意思決定が記入してあります。担当者目線の苦労や陥りがちな落とし穴などが記されていて共感を生みやすく、実際に職場ですごろくをやるかどうかは別にして、共有もしやすいというDMならではの工夫があったと思います。
また、今回は自治体のDMも高い評価を受けているものが複数見られました。その中でも特に南相馬市の18歳に祝い金を支給する事業のDMは印象的でしたね。役所の事務的なお知らせのイメージとは一線を画すおしゃれなデザインで、18歳の巣立ちを応援する南相馬市の想いやストーリーが伝わってくるメッセージ性のあるDMでした。まさに感性に訴えかけられるDMで共感を集めた好事例です。
DMは万能ではない!強みを理解して適切に活用を
MZ:これまでDMを活用する様々な企業に取材してきましたが、その多くがDMの費用対効果の高さに言及していました。企業がDMを活用する上で意識すべきことを教えてください。
恩藏:まず前提としてDMは決して万能ツールではなく、実施すればすべてが解決するわけではないことを認識する必要があります。この点は、もちろんどのコミュニケ―ションでも当てはまることです。そういった中で、DMにしかできないこと、最も有効になるシチュエーションを理解して、それに合わせて施策を行うべきだと思います。
今回グランプリに輝いた北海道産地直送センターの「ほたて型DM」は、DMのクリエイティブやキャッチコピーにおいてABテストを実施していました。このように、自社で検証することで、よりインパクトがあるコピーの在り方に関する知見が蓄積されていき、さらに精度が高いDMが実現できるのではないかと思います。
MZ:最後に、DM活用について迷っている方に対してメッセージをお願いします。
恩藏:ここまで読んでくれた皆様は、きっとDMの魅力に関心が向いているはず。使っていたけれどやめてしまったという企業は、新しい視点や方法で取り入れてみてほしいですし、まだDMを取り入れたことがなければ、ぜひ試してほしいと思います。
馬場:DMは、保存性の良さ、閲覧性の高さ、共有のしやすさなど数多くの利点があると思います。さらにクリエイティブも封書・ハガキから箱型まであり、創り方は無限にあります。成功事例はDM大賞のサイト、郵便局のスマートDMのWebサイト、DM協会のサイトにも掲載されているので、DMならではの良さをぜひ一度見ていただければと思います。
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スマートDMは、デジタルと紙のDM(ダイレクトメール)を掛け合わせた手法のこと。デジタルとリアルのいいとこどりができるから、五感を揺さぶる1枚が、届けたい人のみにムダなく届く。これからの時代を想う、効率的な新たな手法です。