マーケティング本部誕生の背景
──岡嶋さんは、全社の中でマーケティング組織が果たす役割や、経営活動においてマーケティングがもたらす価値について、どのように考えていらっしゃいますか?
マーケティング組織は、社のハブ的な役割を担っていると思います。私たちフランチャイズビジネスの場合はメーカーと違って、加盟店の方々に売り場で動いていただかなければ、考えた施策がお客様に届くことはありません。「伝えた」と「伝わった」は異なるものです。

コミュニケーションは伝えたら終わりではなく、相手が行動して初めて伝わったと言うことができます。だからこそマーケティング組織がハブとなり「なぜ今このカテゴリー、そしてこの商品に力を入れるのか」といった背景を伝えるコミュニケーションを社内で展開していくことが重要だと思います。
私が長を務めるマーケティング本部は、この流れを受けて2023年に立ち上がりました。それまで社内にマーケティング組織は存在しなかったのです。MD(マーチャンダイザー)が、担当するカテゴリーの商品について「どのような点がお客様に支持されているのか」「どのような点に不満を抱かれているのか」を確認するマーケターのような役割を担ってきました。もちろんMDの役割は今後も変わりません。
なぜMDがいるにもかかわらずマーケティング本部が設置されたのかというと、お客様のインサイトを探り当てて打ち手を実行するために、カテゴリーや商品ごとでなく全体を見る存在が必要だと考えたからです。お客様のニーズの多様化やSNSの発達による顧客接点の細分化、そして「モノからコト、コトからトキ、トキからヒト」といった消費の変化に対応するためにも、マーケティング本部の設置は必要だったと私は理解しています。
──MDとマーケティング本部の役割の違いを具体的に教えていただけますか。
商品企画はMDが担当しています。一方で私たちマーケティング本部は「●月はこのカテゴリーを強化してみてはどうか」といった戦略の部分に携わっています。戦略に沿って実際にカテゴリーを強化するタイミングで、新しい商品や看板商品のブラッシュアップを一緒に進めています。