SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングの近未来

デジタル庁への提言 「個人情報有効活用法」の制定を

個人情報を有効活用する先に、経済成長の余地がある

 経済の本質は人間である。個々の人間の活動が経済の基本要素であり、そこに必ず個人情報がある。その個人情報を有効活用する。そこに経済成長の余地がある。新しいビジネスモデルの余地もある。経済とは「経世済民」の略語である。個々の人間活動を基本要素とし、そして、全体が一つの有機体として機能している。そこには相互扶助の原則がある。

 我々は、相互依存・相互扶助の世界に生きている。だから、個人データの利活用についてその権利はまず個人にあると同時に、相互に助け合うために、マスメディアなど社会的意義が高く、公共の利益・福祉に資する企業に使っていただく。それを「個人情報有効活用法」で規定する。米国IT企業であってもGDPRに従う。同様に、日本人の個人データについては、「個人情報有効活用法」を遵守して、民放局などマスメディアに提供することになる。

 2014年にノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロール教授は、「利用者が提供した情報と、その情報の処理や加工との間に明確な区別があるとすれば、とるべき方針ははっきりしている。情報は、提供した本人に所有権があるということだ。<中略>このように、生データの所有権は提供した本人に帰属し、処理済みデータの知的財産権は処理をした企業に帰属すると考えるのが自然だ」と書いている(引用:『良き社会のための経済学』ジャン・ティロール著)。

 ちなみに、弁護士の先生から、「データの所有権」という概念はないと指摘された経験がある。この本の訳語で「データの所有権」と記載しているが、もちろん、悪意も他意もないと思うが、「データの権利、知的財産権」などの意味で捉えて欲しい。

 ジャン・ティロール教授に従えば、日本人のオリジナルの個人データは、日本人にデータ権があって、処理済み・加工済みのデータはGoogleなど米国IT企業にある。

 たとえば、日本人がGoogleでどんな検索をしているか、その具体的な検索キーワードの履歴データは日本人に権利がある。一方で、その検索キーワードに従って、検索結果画面が表示されるが、その検索結果画面にどんな情報が掲載されているかについては、Googleの処理済み・加工済みデータなので、Googleに知的財産権がある。

 Amazonで日本人がどんな商品を購入しているのか、そのオリジナルの購買履歴データは日本人に権利がある。その購買履歴データに基づいてAmazonウェブサイトでどんな商品をレコメンドするかなどのデータについては、Amazonの処理済み・加工済みデータなので、Amazonに知的財産権がある。

次のページ
「個人情報有効活用法」とは

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
マーケティングの近未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/07/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46001

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング