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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

人起点の顧客関係構築を考える

解約を防ぎつつ、自社本位にならないCRMを実現するには?オーガニックサプリブランドに聞く戦略

いかに顧客の状況を把握するか?

――「お客様の目標達成」とのことですが、人によって求めることは様々だと思います。そこはどのように把握しているのでしょうか。

村山:お客様の心理状態に寄り添うことは非常に重要です。しかしながら、お客様が何の目的で商品を購入しているのか、あるいはどのような段階にいるのかを把握するのはとても難しいものです。

 ですから、まずは仮説に基づいてコミュニケーションを進めます。その後、定期的にアンケートなどを実施して、意識調査を継続的にしっかり行うようにしています。

 具体的には、入り口であるLPを細かく分け入ってきた人の属性に応じて、どのような悩みを持っているかを想定したり、購入後に「何の目的で購入しましたか」といったアンケートを実施したりします。属性や目的に応じて、適切な情報を適切なタイミングで提供する仕組みを構築しています。

――エンゲージが深くなると意識調査の回答もしっかり返ってくる。いいサイクルが回っていそうですね。

プレゼントやアナログな取り組みも重要

村山:他にも感謝の気持ちを表すために、いわゆるロイヤル顧客の方に対して、私自身が書いたメッセージとともにプレゼントを贈っています。結果として、年間コースの継続率や、アンケートやイベントへの参加率が大幅に上昇するに至っています。

 当初はCRMの一環として始めた取り組みでしたが、実施してみることで、収益面で黒字化しただけでなく、お客様に寄り添うことの重要性をより深く実感し、会社全体の意識が高まりました。

年間配送の最後のタイミングなどに感ギフトカードを同梱。感情が乗った熱量があるお礼メッセージも多く返ってくる。
年間配送の最後のタイミングなどに感ギフトカードを同梱。感情が乗った熱量があるお礼メッセージも多く返ってくる。(引用:GIFTFULサイト

 おもしろいのは、喜ばれるプレゼントは当社の商品とは関係のない品だった点です。当初は自社の別商品を贈っていたのですが、「いらないです」というお声をいただきました。冷静に考えると、当社の商品を使う方はきちんと自分でいいモノを選びたい人なんですよね。その点を改めて確認できました。

 ――お客様がきちんとNOを返せる関係なんですね。商品の質がよいことはもちろんですが、顧客と企業やブランドの間に強い信頼関係が構築されていることの重要さを感じます。

村山:そうですね。CRMには、単なる接点の設定や売上改善以上の意味があります。単に短期的な売上を追求するのではなく、お客様の心の中にイメージを残せるかが大切だと思います。

写真右:株式会社GiftX Co-founder 飯髙 悠太氏
写真右:株式会社GiftX Co-founder 飯髙 悠太氏

CRMの効果が間接的に発揮される場合もある

――リピート通販と言うと、なかなか解約できない問題がありますよね。そこはどうお考えですか?

村山:これをすると誰も幸せになれません。当然お客様は不愉快ですし、対応する社員もお客様の怒りを浴びるので、モチベーションは下がります。だからこそ、まずお客様のインサイトや問題を解決する、そもそも解約されにくい商品設計が大切だと考えます。

 それに、解約理由には様々なものがあると思います。中には商品のことをよく理解していないために解約を選択するケースもあるでしょう。解約を防ぐためにも、より多くの情報を提供することを意識しています。

 さらに「Lepeel Organicsはしっかりしていて信頼できる」と思っていただいた状態で解約いただければ、その方の周囲でサプリの話題が出たときにLepeel Organicsをポジティブにご紹介いただけるかもしれません。

 離れようとする方々を縛ろうとするマーケティングはネガティブな印象を抱かれかねません。それは避けたいところです。

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CRMと広告は、両軸で進めるべき

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この記事の著者

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現在、企業のアドバイザーやマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/02 13:41 https://markezine.jp/article/detail/46166

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