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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

人起点の顧客関係構築を考える

解約を防ぎつつ、自社本位にならないCRMを実現するには?オーガニックサプリブランドに聞く戦略

CRMと広告は、両軸で進めるべき

――商品のよさと新規のお客様を集めるための施策のバランスはどう考えていますか?

村山:最初に葉酸サプリの事業を始めたときに、お金の重要性を痛感しました。どんなに商品がよくても、広告費を掛けてインプレッションを増やさなければ、お客様は増えず事業をうまく進めることができないな、と。

 ですから、「商品がよければわかってくれる」と考えるのではなく、きちんと新規顧客を増やすための広告費を掛ける必要があると感じます。

 そして安易に新商品を開発するのは控えるようになりました。定期購入を決めてくださったお客様に対する責任を考えると、「この商品は売れる」と確信を持ってからでないと始めてはいけないと思うようになったのです。せっかく使い続けようと思ったのに、「やっぱりやめます」と言われたら印象は最悪ですよね。

 ですから、まずは商品設計をしっかり行ったうえで、第一想起をとれるよう取り組むことが大切だと思います。おかげさまで今は競合も増え、ベンチマークされる側になりました。しかし、当社はゼロイチを作ってきた強みがあり、商品力に自信を持っています。そのことを広告でも伝えるようにしていますし、購入いただいて実際に商品が手元に届いたときも、それ以降も信頼できるブランドであると思っていただけるようにしています。

――CRMと新規顧客を増やすための広告、両方に取り組むからこそ実現できることですね。

「オーガニックサプリと言えば」の第一想起を目指す

――最後に、Lepeel Organicsを今後どうしていきたいと考えているか、教えてください。

村山:「オーガニックサプリと言えばLepeel Organics」と言っていただけるよう、商品を定番化したいですね。一生使い続けられるような商品を届けることを目指しています。

 そのためには、たくさんのお客様に「この会社はいいね」と思っていただき、商品を体験してもらう必要があります。新規のお客様を増やしていくことに努めるとともに、全チャネルでの施策展開を強化し、さらに多くのチャネルでも接点を作っていきたいです。

 また、新商品の企画開発も進めています。鉄分サプリメントももちろん伸ばしていきますが、それ以外の商品も含めて定番化を目指しています。これが私たちの実現したい世界です。

 課題としては、定番化に必要な認知度がまだ十分ではないことがあります。広告やマーケティングの力を伸ばしつつ、CRMを活用し、お客様の力も借りて認知度を高めていきたいと考えています。

編集後記:飯髙悠太

 添加物のない商品を求めている敏感体質の方というインサイトや時勢だけでなく、ユーザーのリテラシーや競合状況も考慮しながら、オーガニックにこだわって誕生したLepeel Organics。

 現状、アフィリエイトに限界を感じているD2C企業も多く、新規獲得が難しい中で、数値や仕組みを重視する手法から、お客様との長期的な関係構築を重視する方向へ業界全体がシフトしてきている。その中で、ブランドイメージやお客様とのコミュニケーションを重要視し、アフィリエイトはサブの位置付けにしているLepeel Organicsは、ベンチマークされている存在。

 そんなLepeel OrganicsがCRM施策において重要だと考えていることが、お客様の目標達成に自分たちがコミットできているか。

 具体的には「顧客接点をどのチャネルで持つか」そして「それぞれのチャネルでどうコミュニケーションするか」の二つがメイン。

 Lepeel Organicsの商品は高いこだわりをもって作られており、平均単価と比べるとかなり高価なため、重要視しているのが初回の商品提供。初回のユーザーは情報を知りたいであろうという考えから、すべての情報を網羅した冊子を送付。実際この冊子を拝見したが、鉄分に関する情報が網羅された書籍と言っても過言でないクオリティだった。

 顧客の解像度をあげるために、定期的なアンケートやユーザー座談会の実施するだけでなく、エンゲージを深めるためにプレゼントやアナログな取り組みもしている。年間コースを利用しているロイヤル顧客に対して、自社の関連する製品でなく村山さんご自身がいいと思っているものを同梱物として送っているとのこと。ここで重要なのは、「単純に短期的な売上を追求するのではなく、お客様の心にイメージが残せるか」

 リピート通販というと、サービス側がなかなか解約させてくれないといった問題が定期的に話題になっているが、それでは誰も幸せにできない。「お客様のインサイトや問題を解決する、そもそも解約されにくい商品設計は何か?」が大切。なので解約を防ぐより、より多くの情報を提供することであり、Lepeel Organicsなら信頼できると思っていただけることが重要、という姿勢が印象的だ。

 「オーガニックサプリと言えばLepeel Organics」を目指し商品の定番化を図るために、お客様との関係作りのために何を残し、新たに何に挑戦していくのか。今後のLepeel Organicsに注目していきたい。

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この記事の著者

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現在、企業のアドバイザーやマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/02 13:41 https://markezine.jp/article/detail/46166

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