苦難から急成長へ 戦略の転換点
高橋(Adjust):続いて、成長軌道に乗る前の苦悩をお聞かせください。特に「PLUG」は、サービスの特性上、その仕組みや魅力を伝えるのに苦労したのではないでしょうか。
伊藤(STRACT):そうですね。当初はInstagramの広告を活用してもまったく効果を上げられないなど、サービスを続けるかどうかさえ迷ってしまうような状況でした。しかし、TikTokのショート動画広告を試してみたところ、それまで1,000円ほどだったCPIが、突如150円にまで下がったんです。「PLUG」の特徴である自動価格比較やクーポン自動発見機能は、TikTokショート動画のフォーマットと相性が良かったことがわかりました。ニーズがないのではなく見せ方の問題だったのだと思います。
澤村(emole):「BUMP」の場合、リリース初日のインストール数を重視していたものの、期待を下回ってしまいました。そこで、スタッフでもある私の妹が「絶対にバズる」と確信していた「切り抜き動画」を試してみたところ、状況が一変。ダウンロード数が急増し始めました。その後は切り抜き一辺倒で数字を伸ばしています。
高橋(Adjust):拡散を狙う切り抜きコンテンツだと、「素人感が重要」といわれることがよくありますよね。プロ感のある作り込まれた動画と素人が作ったような動画、どちらが良いと考えますか。
澤村(emole):高度に作り込まれたコンテンツは、視聴者に「きちんと構えて見なければならない」という印象を与えると思います。一方、素人が作ったように見えるコンテンツは、視聴者が受動的に、たまたま見つけたような感覚を持ちやすいのではないでしょうか。心理的ハードルを低くすることにもつながると思います。
急成長スタートアップが語る次なる挑戦
高橋(Adjust):最後に、皆さんの野望をお聞かせください。
岩永(SAMANSA):当社では「映画の自由化」を提唱しており、長編だけでなく、短編や中編など、様々な長さの映画を多くの人々に楽しんでいただけるよう取り組んでいます。映画の本質を大切にしながら、オンライン上に限らず、映画館での上映やイベントでの上映など、オフラインでのリアルな体験も積極的に提供しています。米国での展開も好調で、今後は海外展開にも力を入れていく予定です。
澤村(emole):「創造で挑戦できる世界へ」というビジョンを掲げており、クリエイターたちがドラマのような大規模なコンテンツや作品に挑戦できる場を創出したいと考えています。引き続きプロダクトの強化とコンテンツ数の拡大に注力していきます。
伊藤(STRACT):私たちの目標は、「デジタルコンシェルジュとしての役割を果たす」ことです。現在は物販のイメージが強いかもしれませんが、実際には売上の3割が既に金融サービスによるものとなっています。今後も多角的なサービスを展開することで、ユーザーの多様なニーズに応えられるよう努めます。
高橋(Adjust):岩永さん、澤村さん、伊藤さん、本日はありがとうございました。皆さんのご活躍を今後も引き続き期待しております。
モバイルアプリトレンド2024:日本版
AdjustとSensor Towerが共同調査した本レポートでは、日本市場でのアプリパフォーマンスに関する戦略的なインサイトをお届けします。ゲーム、ファイナンス、Eコマース、コネクテッドTV、PC、コンソールなどのチャネルのデータ分析から、アプリの成長機会を探ります。