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1ヵ月半で累計購読者数1万人超え!「SmartNews+」が急成長を遂げたワケ

有料メディアの購読者は10%程度、どう市場を大きくするか?

──なぜ多くのメディアがすぐに集まったのでしょうか?

ホン:すでに無料ニュース配信で契約しているメディアが多く、10年間の実績によっていただいた信頼感もあったのだと思います。また、タイミングも良かったようですね。多くのメディアはすでに自社で有料のWebサービスを展開しています。それが軌道に乗っているメディアは追加で売り上げ拡大を目指しているし、途上にあるメディアはSmartNews+を収益源の一つにしたいと考えていたのではないでしょうか。

──しかし、自社サービスが軌道に乗っているメディアでは、カニバリが発生する懸念もあったのではないですか。

ホン:懸念はかなりありました。しかし、マーケット全体を見ると、日本で有料ニュースを読んだことがある人の割合は、サービス開始時点で10%以下でした。欧州では20%を超えており、米国でも15%程度です。少なくとも市場は2倍に、うまくいけば3倍に拡大する可能性があります。カニバリを気にするよりも、まずはマーケットを大きくすることが必要です。

 実際にサービスが始まってからは、メディアパートナーと定期的に振り返りをしています。SmartNews+と各社のサービスを比べると、読者層も、よく読まれている記事の傾向も違うことが分かってきました。そのため、懸念されていたような問題はほとんど起きておらず、「今後は配信記事を増やしていきたい」というお話もいただいています。

購読意欲を高める“シームレスなUX”

──SmartNews+の成長スピードは想定していた通りですか。

ホン:おかげさまで現在の新規購読者の数は想定通りに推移していますが、サービス開始当初、1ヵ月半で購読者数1万人突破という勢いは予想していませんでした。その要因の一つは、ターゲットを絞り込んでマーケティングができたことです。ターゲットを明確に設定していことで、何をやるか・やらないかをはっきり決めることができましたし、想定ターゲットにきちんと刺さるアプローチができたと思っています。

 また、まずはSmartNews内でしっかりマーケティングをしようと決めて、既存のSmartNews読者へのアプローチを進めていたのですが、サービスリリース時にSNS上で複数の著名人がSmartNews+に関する投稿をしてくださったことで、新規ユーザーに知っていただけたのも大きかったですね。投資家や起業家の方が「読みたい記事がこれ1つにまとまっている」などと書いてくれました。それが拡散して、初動の盛り上がりにつながりました。

──SmartNewsは無料アプリなので、有料会員になることにはハードルもありそうです。有料と無料のコンテンツの差別化はどのようにしていますか。

ホン:社内でも、無料記事と有料記事があると、有料の方が“扱いが上”と感じてしまうジレンマに陥ります。しかし、ニュースアプリの目線で見れば、無料記事であっても「広告を見る」という対価を払ってもらっています。ユーザーが自分でお金を払って体験を変える、という違いでしかありません。そのため、社内でも「無料だから」「有料だから」と区別するのはやめるようにしました。

 そういう意味でも、私たちが目指すのは「シームレスなUX」です。しかし、ただ無料コンテンツと有料コンテンツを融合するだけでは境目が分からなくなります。また、新しい施策として有料サービスを始めたことはしっかりと認識してもらわなければいけません。

 そのために重視したのはブランディングです。少し尖ったイメージのPR動画を作成し、ブランドカラーには、ビジネスメディアでは珍しい黄色を取り入れました。記事ページでは「有料ですよ」と文字でアピールするのではなく、SmartNews+の黄色いロゴマークを入れて、自然に目に入るようにしています。

ホン:また、「これまで見てきた無料記事とは何かが違う」と気付いてもらうことも必要です。そのため、無料記事とは記事面の構成も変えています。有料記事は月2本まで無料で読めますが、3本目を開いたときに「これは有料記事だったのか。もっと読みたい」と思ってもらうようにして、障壁を取り除こうとしています。「有料会員になって!」と強調するのではなく、煩わしく思われないように、自然に誘導しています

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最初の1年間は「会員数」ではなく「UX向上」を重視

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46359

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