高校野球の夏は恒例企画「あだち充夏祭り」 名作『タッチ』などで盛り上げ
━━具体的にはどのような取り組みがありますか?
毎年、夏の高校野球の時期には、サンデーの野球漫画の名作『タッチ』(あだち充作)などにちなんで「あだち充夏祭り」という独自企画を行っています。その中の「キャラクター神経衰弱ゲーム」は「あだち充先生作品のキャラクターには特有の顔立ちがあり、別の作品でも見分けが付きにくい」という特徴を活かしたものです。
『タッチ』のアニメでヒロインの浅倉南役を演じた声優、日髙のり子さんが挑戦いただいたことや、甲子園球場にてあだち充先生とともに『名探偵コナン』の青山剛昌先生もゲームに挑戦されたことなども話題となりました。
また、2023年にWBC(ワールドベースボールクラシック)の話題で盛り上がった際には、満田拓也先生による野球漫画『MAJOR』を無料開放しました。2024年は、大谷翔平選手がホームランを打つたびに、本数と同じ巻数までの『MAJOR』を無料で開放しています。たとえば23本目のホームランを打てば、一定期間中は23巻まで無料、24本目を打てば24巻まで無料と増えていくイメージです。
このような取り組みは、それぞれの作品単位で120~130%ほど購読率が伸びる結果となりました。「懐かしくてまた読もうと思った」「なんとなくは知っていたけど漫画自体は読んだことがなかった」という方々に届けられたと認識しています。
タイミングに合わせた企画実施で離脱を防ぐ
━━アプリのマーケティングでは、既存ユーザーの離脱・休眠を防ぐことも重要だといわれています。定期購読ユーザーに対し、リテンションや活性化、より深いファン化を促すために、どのような施策をしていますか?
読者には、できるだけ様々な作品を読んでいただきたいと考えています。特定の映像化作品などを目当てに入ってこられた方にも「この作品もあなたの読んでいる作品と近いですよ」と近い読み味の作品を案内する「レコメンド機能」は、今とても注力していることの一つです。そこから発展し、他の類似作品や違うジャンルも読んでいただきたいと考えています。
また「サンデーうぇぶり」では、既存作品のファン同士が交流できる場も、より深いファン化を促す手段として大事にしています。たとえば、2年ほど前から行っている『名探偵コナン』の劇場版公開に合わせた「ネタバレ解禁室」もその一つです。
映画を観たファンの方々の「今年の映画の感想を語りたいけど、ネタバレになってしまう」というXのポストに着想を得て、「サンデーうぇぶり」の定期購読者限定で思う存分ネタバレしながら映画の感想を共有し合える場を作ったのです。
コメント欄の「0番目」には著者である青山剛昌先生による映画の感想コメントが入っており、ファンの方々はそこに続く形で自分のコメントを書き込むことができます。今年はさらにコメント数が伸びています。
作品の人気にはどうしても流行りすたりなどの波があるものです。「なるべく離脱を防ぐ」という視点も重要ですが、小さな波に一喜一憂せずに、タイミングに合わせて様々な企画を打ち、長期的なトータルで見たときに右肩上がりになる状態を目指しています。
媒体力を上げ「サンデーうぇぶり」オリジナルヒット作を生み出す
━━今後の展望や目指すあり方、取り組みたいアクションについて教えてください。
過去の名作や連載中の作品、それを活かした様々な企画により、アプリのユーザー数は右肩上がりとなっています。しかし、読者が最も求めていることは「新しい作品を読むこと」だと私たちは認識しています。
そのために新人賞を活用した新人作家の発掘や、他誌でヒット作を生んだ作家の取り入れなどで、様々なジャンルの作品をしっかりと立ち上げ、「サンデーうぇぶり」の媒体力を上げるアクションに注力していきたいと考えています。
映像化作品の多い他媒体でも、その視聴者がアプリまで読みに来てそこで他の作品も読んでいくという流れとなっており、うまく循環しているのだと捉えています。「サンデー」も同様に、現在続けている連載中の作品や過去の名作の配信は続けつつも、「サンデーうぇぶり」オリジナル作品の中で、話題となるようなヒット作を生み出していきたいと考えています。
