「議論を通してワンチームとなるスタイル」が違いを生み出す
MZ:最後に、今後のCM制作における展望をお聞かせください。
川名:「スタサプENGLISH」はとても実験的な作業スタイルで、新鮮な発見がたくさんありました。特に、マーケター、クリエイティブ、フィルムディレクターが普段ここまで近い距離感で協働することはなく、画期的なチャレンジでしたね。チーミングにおいてもまだまだ試していない「スタッフの組み合わせ」や「作業スタイル」がありそうだと、新たな可能性を感じる仕事でもありました。
小栗:近年は、データ活用の広がりや技術の向上などもあり、精度の高い広告が増えてきたと感じます。一方で、昔のCMの純粋な面白さを再認識することもあるんです。私の肌感ですが、「どう目立つかの時代」を経て「どう説明するかの時代」が来た。メディアの使い分けができる今、改めて人々の興味を惹くことに特化した「マス広告的なCM」に立ち返るのも面白いのではないでしょうか。
情報過多な広告が溢れかえる今だからこそ、もう一度CMにコンテンツとしての面白さを追求する考え方が広がると、さらなる可能性が生まれるかもしれません。
奥田:「スタサプENGLISH」の取り組みを通して、CM制作のスタイルがある程度確立できました。このスタイルだからこそ生まれてきた仮説や結果があったと思うと、調査ドリブンというスキームというよりは、ディスカッションを通じてワンチームとなるスタイルが違いを生んでいるとも考えられます。今後は、このスタイルを別のブランドでも試してみたいですね。
連載の最後となりますが、私が考えるマーケターの一番大事な役割は、たとえ筋が悪くても「こうするのってどうですか?」という最初の投げかけをすること。つまり、チームで体現したいスタイルをまず自らが思い切って示すことだと考えています。
そして双方から出てきた意見や視点を交換し、チームとしての意見にまでファシリテートしていくことが大切だと思います。
MZ:皆さん、本日はありがとうございました。
