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MarkeZine Day 2024 Autumn

先駆者は語る!NTTドコモとエン・ジャパンの取り組みに学ぶ、ポストCookie時代のマーケティング

これからのデータ活用を考えよう

 2つ目のトピックは「これからのデータ活用」だ。まず下地氏が、NTTドコモのデータ活用におけるポイントを紹介した。

 「データから価値を生み出しお客様へ還元していくには分析だけでなく、インタビューをはじめとした顧客理解とハイブリッドで進めることが重要です」と下地氏。ターゲットとなるユーザーのセグメント仮説を立て、定量調査のデータで確認し、N1調査を実施してコンセプト仮説を投げかけインサイトを発見していく。これらのステップを通して顧客理解を進め、再びデータを用いて受容調査をし、定量化する。

 こうした施策を進める際は、顧客理解のための質問方法にも注意が必要だ。“本当のインサイトではない答え”が返ってくるリスクの高い問いかけの例として、「誘導尋問にならないようすること、また理由を質問してしまうこともよくありません」と下地氏。NTTドコモではN1調査の際は内容の違うコンセプトボードを数枚用意し、インタビュイーの思考の外にあるインサイトを言語化する工夫をしているという。

 続いて田中氏が、過去軸の課題だけでなく、未来軸で課題を考えデータを収集することの重要性を語った。たとえば10年前、現在と比べるとオンラインミーティグのユーザーは圧倒的に少数派だった。このように、将来的に多数派になりうる何かを見つけることができれば、他社に対してアドバンテージが取れるのだ。

 ただ、気を付けたいのは、未来の予想が的中することはない点だ。「未来は常に自分たちの想像以上をいくものです。しかし未来軸で考え、メンバーや関係各所とディスカッションした時間は無駄にはなりません」と田中氏は加え、未来のユーザーに目を向けた議論は非常に本質的なものであることを示した。

価値を生み出し、社会と顧客に還元していくことがミッション

 両社から紹介された取り組みに対し、渡邉氏は次の3点で総括した。

 「このセッションにおけるポイントの1つ目は、マーケターにはデータ活用の前提としてプライバシーへの対応が求められていくこと。2つ目はデータだけに依存せず、合わせて顧客理解を進めていくことも重要であること。そして3つ目は、未来の生活者を考えた仮説作りが大切だということです」(渡邉氏)

 最後に、下地氏および田中氏より、マーケターに向けてアドバイスが伝えられた。

 下地氏は、データを活用したり顧客理解を進めたりする活動の最終的な目的は、新しい価値を生み出して社会と顧客に還元していくことであると強調。「マーケターは、常に生み出した価値をどのようにお客様や社会に還元していくか考えることが大切です」と述べた。

 田中氏はディスカッションの重要性を挙げ、他社の人々とも情報や意見を交換していく必要性を説いた。そして「議論を重ねることで集合知を元にした課題解決が可能となり、その結果、生活者にも良い影響が生まれます。私自身も、引き続きそういった活動に取り組んでいきたいと思います」と、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46997

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