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「ペルソナ」を作ると失敗する? Z世代向けマーケティングの勘違い

ひとくくりにされと、自分はその中に含まれていないと感じる「Z世代」

 ここまでの話をまとめると、Z世代は実際の行動から意識まで、自身がごく限られたコミュニティに所属していると自認しており、尚且つその状態が心地よいと感じていると読み解くことができる。そんなZ世代に「ペルソナ」を活用したマーケティング施策を行うとどうなるろうか。それは初めにお伝えした通り、忌避的な意識はないが、自分事にもならないため、自身に向けられた内容であると認知される可能性は低いと考えられる。

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 簡単に言い換えると、Z世代は自身がマイノリティだと認識しており、それが心地よいと感じている。そのため、世代の共通点を集めて作られた「ペルソナ」を目にすると、自分はその中に含まれていないので関係がないと感じてしまうのである。マーケターがきちんとリサーチをし、それに基づいたマーケティング施策を行ったとしても、Z世代の大多数向けに実行した時点でその施策は失敗する可能性が高くなってしまうのである。ミレニアル以上の世代が持っている様な世代意識がZ世代にないわけではないのだが、それは全員がマイノリティ、いわば人それぞれということであり、旧来の「ペルソナ」としての活用を難しくさせている。

 また近年「Z世代」というワードだけが急速に広まった結果、「Z世代」=若者全般、もしくは女子高生や女子大生などの流行を追っている年代の人々として多数のメディアで取り上げられたことが、上記の意識をさらに高めてしまっている様である。同時にZ世代の年代が上昇するにつれ、成長過程で変化の大きいこの世代を一つの世代として表現することが難しい状況に入ってきていることも影響していると考えられる。

 諸説あるがZ世代は1997年~2009年生まれの世代を示していることが多く、年齢に換算すると15歳~29歳、つまりは高校生から20代の社会人までとかなり幅広い年代を示す世代になってきている。そのため、20代社会人が女子高生から作った「ペルソナ」を見せられても、違和感を覚えることは容易に想像できる。

「Z世代」と「ペルソナ」マーケティング

 ではZ世代向けには、どの様なマーケティングが有効なのだろうか。そのヒントは「自分事」化である。共通点を集めた「ペルソナ」は関係がないと感じられてしまうので、Z世代に商品開発やマーケティング施策そのものに入ってもらうフェーズを挟むことで「自分事」化してもらうのである。

 具体的には以前から期間限定商品などで実施されることの多かったユーザー参加型の商品開発を、マーケターとZ世代がともに顔がわかる形で実施し、その様子を顔がわかる形のままPRにまで活用するというものである。この施策を継続的に実施し続けることで、初めから大きな売り上げを見込むことは難しくとも、着実に「自分事」化できるZ世代を増やし続け、いわばZ世代とともに商品を育てていくことで「ペルソナ」を起点としたマーケティングでは解決することが難しかった「自分事」化が達成できるのである。

 近年はこれからの消費の中心を担う世代として「Z世代」が注目され、様々な研究やマーケティング施策が行われている。しかし様々な取り組みが行われたからこそ、世代として捉え「ペルソナ」を作成することで、理解したつもりになってしまってはいないだろうか。我々の試みや探求が皆様の「Z世代」理解へのヒントとなれば幸いである。

【株式会社インテージホールディングス グループR&Dセンター 自主企画データ】
調査手法:1on1 デプスインタビュー
調査地域:日本全国
対象者条件:15~39歳の男女
対象者割付:Z世代(15歳~25歳)60名/ミレニアル世代(26~39歳)40名
調査実施時期:2024年1月~3月

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この記事の著者

大野 貴広(オオノ タカヒロ)

株式会社インテージ
エクスペリエンス・デザイン本部 リサーチ事業推進部 F2Fアナリシスグループ リサーチャー/モデレーター

SP会社、BtoB調査会社を経て、2018年にインテージ(旧インテージクオリス)入社。一次情報に触れてから分析を始めることを大切にしており、インテージの中でも定性調査を担当する部署で消費者の生...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/12/13 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47708

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