BIPROGYが考える「OMO戦略の実現・推進の難しさ」とは
━━BIPROGYでは様々な企業のアプリ開発に携わっていると思います。アプリを活用したOMOの推進において、一般的にどのような企業課題が多いのか、その傾向を教えてください。
島田:OMO推進のご相談は多くの企業の方から寄せられていますし、実際にOMO投資は増加していると思います。そのなかでアプリ開発のご相談が多いのは、やはり「実店舗とECのシームレスな購買体験」を実現したいという目的があるためで、お客様との接点になるアプリは重要な役割を担っています。
島田:ただし、課題も多くあり、その一つは、店舗とECの顧客データの差異ですECと実店舗で収集しているデータ項目が異なるため、店舗・ECで共通のマーケティング施策を実施できないというケースはよくありますし、アパレル企業の場合はブランドごとにECサイトがあってそれぞれで顧客データを収集しているため、なかなか同条件の施策を打てないという悩みを聞きます。
渡邉:OMOのお話を伺っていると、その目的は大きく2つに分類できると考えています。一つは今日のUA様のように、お客様との接点を重視して顧客関係のさらなる向上を目指すOMOです。もう一つは、在庫効率性などオペレーション改善を中心としたOMOです。
どちらも大切なのですが、オペレーションの効率化視点の場合、個別最適に陥って、UI/UXの観点で横連携が難しくなるケースが間々あります。当社がご支援する場合にはそうした事態を避けるため、お客様視点で全体設計できるように上流フェーズで意識合わせをしています。
OMO全体設計においてUAが求めたこと
━━OMOの実現に当たり、お客様視点での全体設計が大切という話が出ましたが、今回のアプリリニューアルプロジェクトを含むOMO全体の設計におけるコンセプトや、企業としてどのようなことを実現したいと考えたのか、そのパーパスについてもお聞かせください。
岩井:2023年5月、私たちは「長期ビジョン2032」で「美しい会社ユナイテッドアローズ」という言葉を掲げました。
岩井:この「美しい」という概念をどう捉えるかは個々の社員に任せられています。というのも、私たちは単に服を販売しているのではなく、お客様の魅力をいかに引き出していくかを提供価値としているからです。
そのため接客もそうなのですが、私たちUAはお客様を中心に、「お客様が『長期的に来店したい、この店を選びたい』と思っていただくには何が必要か」をそれぞれで考え、お客様の思いを常に意識するように心がけています。先ほどの「シグナルの精度を上げてパーソナライズしたおもてなしを向上させたい」というのもその一環です。そのため「店舗スタッフがアプリを介してどのように接客できるか」という点は非常に大切な要素でした。私たちのパーパスを活かすのはやはり接客であり、その接客の起点としてOMOをどう作っていくかという点が設計の基本部分です。
そうすると、お店からECにどのように行っていただくかというプロセスも設計しなくてはなりません。OMOでは「あれもこれもやらなければ」と焦ることになりがちなので、そうではなく狙いを定めてそこに向かっていくように注力しました。今回でいえば、あくまで「店舗とその接客」にアプリをどう活かしていくかを考えて進めた形です。
━━ありがとうございます。その思想で具体的に全体設計をどのように進めたのかは、後編で伺いたいと思います。
OMO機能をオールインワンで提供する「Omni-Base for DIGITAL’ATELIER」
Omni-Base for DIGITAL’ATELIERは、店舗とECを横断した在庫管理や顧客管理が可能なバックオフィス機能を兼ね備え、OMO戦略を実現するためのフルフィルメント業務全般をオールインワンでカバーします。本記事で興味を持たれた方は、DIGITAL’ATELIER公式サイトからお問い合わせください。