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有園が訊く!

テレビ業界のビジネスは変われるか 奥律哉氏に聞く、地上波の“その先”のサービス

日本のテレビ局はビジネスを変えていけるのか

有園:テレビ局には、ビジネスを変えていこうとする動きもあるのでしょうか。

奥:テレビ放送が始まって約70年、かつては順調にビジネスを拡大してきました。しかし、現状はインターネットやスマートフォンの普及によってネットに広告費が流れています。何とかしなければいけないのは当然で、昔と比べれば危機感は強いと思います。

 その中で今、期待しているのは、日本テレビが開発しているアドプラットフォーム「Ad Reach MAX(アドリーチマックス)」です。2025年春には、テレビCMをオンラインで発注できるサービス「スグリー」が本格的に始まります。

有園:プログラマティックなやり方を応用して、地上波CMの買い付けができるサービスですね。クリエイティブの差し替えは、放送20分前までできるそうですね。

奥:従来、テレビCMの素材変更には中3日が必要でした。広告主の立場からすると、天候や世相の変化によって直ちに変更したいというニーズが当然ありますが、フレキシブルに対応しづらかったのです。そのニーズに応えるために、手動で対応していたこともありましたが、非常に大変でした。

 今回日テレは、20分のリードタイムがあれば、素材を差し替えられるようにしました。ただし、素材は事前に考査を経て、ストックしておく必要があります。

 もう一つの特長は、エリアや時間帯、ターゲットなどを設定した上で、インプレッション数でプランニングとバイイングができることです。テレビらしさを残しつつ、ネットの一部を活用した新しいサービスとして、広告主企業も注目しています。

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan 有園雄一氏

広告主の期待とメリット

有園:どのようなことを期待されているのでしょうか。

奥:広告主としては、インプレッション数に基づいてCM枠を購入することは、ネット媒体との整合性が取りやすいと思います。また、状況に応じて素材を変えられるメリットは大きいですね。

 ユーザーの属性によって広告素材を変えられるのがネットの特長ですが、テレビCMの場合はそうではありません。“面”として、多くのリーチを担保しながら素材を変えられるのです。「気温が高くなりそうだからこの商材のCMを出す」「スポーツで日本のナショナルチームが勝ったら『おめでとう』とメッセージを出す」など、ムーブメントやモードに対応した素材を出せます。

有園:以前、敏感肌の人向けの商材を販売する企業のコンサルを担当したことがあります。冬の乾燥した日にバナー広告を出すと、店頭で商品がよく売れていました。スグリーの仕組みを使えば、テレビでも簡単にそれができますね。

奥:昔はテープをつないでいたので、CMを急に差し替えることはできませんでした。先ほどお話ししたように、手動で差し替える取り組みも存在したことはありますが、仕組みとして可能になるのは初めてですから、感無量ですね。

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同時配信だけでは不十分 新しい放送サービスを志向せよ

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47944

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