ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は2月4日、日本を含む世界19市場12業界、売上1億ドル超の企業の経営層1,803人を対象に、AIに関する取り組みを調査したレポート「From Potential to Profit: Closing the AI Impact Gap」の結果を発表した。
日本企業の約半数がAIに2,500万ドル超を投資する予定
AIに対する2025年の投資予定額を見ると、調査に回答した企業の3社に1社がAIに2,500万ドル超を投資する計画があると判明した。このことから、2025年においてもAIは世界中の経営層にとって最優先事項であると言える。
また、日本では調査に回答した約半数の企業が2,500万ドル超の投資を予定していると回答しており、諸外国と比較して最多の割合となった。
![](https://mz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/47968/47968_1.png)
AI先進企業の8割以上がAI投資による売上高や利益の影響を追跡
続いて、企業による投資の使い方やAIへの取り組み方について調べた。その結果、既にAIで成果を上げている「AI先進企業」は、AIへの投資の80%以上を基幹機能の再構築や新たな価値提供の創出に充てた上で、明確な目標を設定し売上高や利益への影響を追跡していた。
一方、他の企業ではAIへの投資の56%を、生産性向上を目的とした小規模な取り組みに注力。調査に回答した企業全体の60%が、AIによる価値創出に関連する財務KPIの定義およびモニタリングができていないことも判明した。
また、AI先進企業では優先的に取り組んでいるユースケースが平均して3.5件である一方、他の企業では6.1件に。このことからAI先進企業では、取り組みの「幅広さ」よりも「深さ」を重視する集中型アプローチを行うことで、他社に比べて2.1倍高いROIを達成できると見込まれていることがわかった。
7割近くの経営層が「AIエージェント」活用を検討
続いて、AIエージェントの活用状況を調べると、既に67%の経営層がAIトランスフォーメーションの一環として活用を検討していることがわかった。この傾向は国や地域を問わずに高く、日本でも72%の経営層が何かしらの形でのAIエージェント活用を検討している。
![](https://mz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/47968/47968_2.png)
7割近くがAI導入後も従業員数の維持を検討
最後に、AIの導入が従業員数に与える変化を調べた。すると、同調査の回答者のうち68%は、自社の従業員数を現在のまま維持することを想定していることが判明した。
それに加えて、AIによる生産性向上や、既存の人材をAIニーズに適応させるためのアップスキリングに注力すると回答した。しかし実情を見ると、従業員の4分の1以上にアップスキリングを実施したと答えた企業は、全体の3分の1未満に。この数字は2024年からは改善しているものの、従業員がAIテクノロジーに適応し、雇用に対する安心感を持てるレベルには程遠い状況にとどまっている。
また、回答者の17%は、AI導入によって役割の見直しおよび従業員構成の見直しの必要があると予測し、8%は新たなスキルを取り入れるために従業員数増加が必要と見込んでいることがわかった。一方、AIによる自動化にともなう人員削減を予測している回答者は、7%にとどまった。
![](https://mz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/47968/47968_3.png)
【関連記事】
・BCG、ゲーム市場のレポートを発表 成長の鍵は広告導入の検討、AI活用、支払い意思額に応じた価格戦略
・BCG、AIへの成熟度に応じて73の国・地域を6タイプに分類 日本は「バランス型挑戦者」
・CMO200人に生成AI活用を調査 最も成長が期待される領域はパーソナライゼーション【BCG調査】
・Sales Marker、AIエージェントとゲーミフィケーションを取り入れた「インテントAI」を提供
・ぐるなび、生成AIを活用した飲食店検索アプリ「UMAME!」β版をリリース 会話や画像から店を提案