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【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢

CPI減&DAU増の「デュオリンゴロゴロ」、裏には大きな失敗が⁉DuolingoのCM活用術

最初の「デュオリンゴロゴロ」で得られた大きな成果とは?

――「デュオリンゴロゴロ」という強力なワードを失敗をきっかけに見つけ出せたわけですが、その他にクリエイティブやメディアプランで工夫した点はありますか。

 たとえば、Duolingoにとって最も重要な要素である“楽しい”という点で、高い得点をマークしていたのは40言語のクリエイティブでした。この40言語を表現するため、カラフルなカラーリングを使用したり、UIの見せ方を工夫したり、「デュオリンゴロゴロ」を軸にしながら必要な要素を追加していきました。

2022年5月に放映したテレビCMのクリエイティブ
2022年5月に放映したテレビCMのクリエイティブ

 メディアプランに関してはプライムタイムとゴールデンタイムが他時間帯より2倍近い効果が出ていることがわかっていたので、両時間帯の枠を重点的に押さえました。

――失敗から立ち直った初の全国放送、その結果はどうだったのでしょうか。

 大成功でした。許容範囲以下のCPIで獲得することができ、放映期間のDAUも向上しました。新規獲得から既存のリテンションまで、アプリマーケティングにおけるあらゆる指標に良い影響をもたらしました。グローバルでも1番成功したキャンペーンとして社内の評価も得ることができました。

テレビCMの成否を分けるのはブリーフィング

――「デュオリンゴロゴロ」のフレーズは残しつつ、パターンを変えたテレビCMを出稿していますが、成功を経て新たに工夫した点はありますか。

 最初は2週間のキャンペーンだったので、「デュオリンゴロゴロ」のコンセプトが認知しきれていないと考えました。そのため、良かった点を残しつつ、Duolingoのブランドをより反映したクリエイティブに改善しながら、継続して出稿を続けています。

 また、メディアプランに関しては、1日当たりのGRPを計算しながら、一番効率的に獲得数とCPIを両立できるラインで出稿しています。

――テレビCM経由の新規ユーザー獲得かどうかはどのように判断しているのでしょうか。

 出稿期間とそうでない期間の比較はもちろんですが、アプリインストール後のチュートリアルでインストール経路のアンケートを取っています。この精度が非常に高いので、このデータを活かして最適な出稿量を計算しています。

――今お話しいただいた計測の仕方もそうですが、その他にテレビCMの出稿において大事にすべきことはありますか。

 一番大切なのはクリエイティブのブリーフィングです。これが整っていないとプロジェクトは大きく混乱します。

 良いブリーフィングを作るためには、ターゲットとインサイト、そして自社のプロダクトのベネフィットを言語化する必要があります。欲を言うなら、ベネフィットは最初に設定したものよりもワンステップ、クリエイティブなものにできるといいでしょう。

 たとえばデュオリンゴロゴロは、ユーザーへのインタビューから生まれたアイデアです。あるとき、インタビューしたユーザーが「2年以上、毎日お風呂でDuolingoを利用している」と話してくれたのですが、私はこれをとても不思議に感じました。

 語学学習は交感神経が働くので、リラックスして副交感神経を優位に働かせるお風呂との相性は理論的には良くありません。しかし、ユーザーの話をよく聞くと以前はお風呂でSNSをしていたことがわかりました。

 そこで私は、DuolingoにはSNSで時間をつぶすのと同じくらい楽しく、お風呂でもできてしまうというベネフィットがあると気がついたのです。

 また別のユーザー調査では「英語を話せるようになりたいけれども、勉強はしたくない」というインサイトがあるとわかっていました。この2つのインサイトをうまく表現できないかとブリーフィングを考え、代理店の方と協議し生まれたのが「デュオリンゴロゴロ」です。

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テレビは広告だけじゃない、PRにもチャンスあり

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48275

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