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『MarkeZine』(雑誌)

第111号(2025年3月号)
特集「CES 2025より テクノロジーで変わる社会、広告、マーケティング」

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【特集】いま選ばれる「ブランド」の作り方

ブランドに求められる「善」と「余白」/これからのブランディングに必要な6つの視点

 特集のはじめに話をうかがうのは、「Best Japan Brands」や「Japan Branding Awards」など「ブランド」を評価するランキングやアワードを行っているブランドコンサルティングファーム・インターブランドジャパンCEOの並木将仁氏だ。1月に発表された「Japan Branding Awards 2024」では、ブランドを取り巻く環境変化を受け、設立以来、初めて評価軸を大幅アップデートしたという。今ブランドを取り巻く環境にどのような変化が起きているのか。そしてそれらを踏まえどのようなアップデートがされたのか。並木氏へのインタビューを通して、「これからのブランディングに必要なもの」を考えていく。

※本記事は、2025年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)112号に掲載したものです

【特集】いま選ばれる「ブランド」の作り方

─ ブランドに求められる「善」と「余白」/これからのブランディングに必要な6つの視点(本記事)
クボタが推進するK-ESG経営とコミュニケーション戦略、「選ばれるブランド」になるために

短期的な成果だけでは測れない、ブランディングの価値

──1月末、「Japan Branding Awards 2024」の受賞ブランドが発表されました。インターブランドジャパンでは「Best Japan Brands」も毎年発表されていますが、どのような違いがあるのでしょうか?

 Best Japan Brandsは、ブランドの持つ価値を金額換算して評価するランキングで、2009年から毎年発表しています。一方、Japan Branding Awardsは、2018年に創設した日本で唯一「企業・団体のブランディングの活動を評価する」アワードです。

株式会社インターブランドジャパン代表取締役会長兼社長兼CEO並木将仁氏 戦略コンサルティングファームにて、企業戦略、事業戦略、ブランド・マーケティング、デジタル、M&Aなどにおけるコンサルティングを中心に、包括的に企業の成長を支援。特にオムニチャネル&デジタル時代における顧客体験の向上を通じたブランディング実現を強みとしたコンサルティングサービスを多数実施。インターブランドには2015年に参画。顧客体験をベースとしたブランド価値の向上を、ロジックとクリエイティブの融合から実現することを主眼として、クライアント支援を実践している。
株式会社インターブランドジャパン 代表取締役会長 兼 社長 兼 CEO 並木将仁氏
戦略コンサルティングファームにて、企業戦略、事業戦略、ブランド・マーケティング、デジタル、M&Aなどにおけるコンサルティングを中心に、包括的に企業の成長を支援。特にオムニチャネル&デジタル時代における顧客体験の向上を通じたブランディング実現を強みとしたコンサルティングサービスを多数実施。インターブランドには2015年に参画。顧客体験をベースとしたブランド価値の向上を、ロジックとクリエイティブの融合から実現することを主眼として、クライアント支援を実践している。

──Japan Branding Awardsが後からできたものなのですね。なぜ「ブランディングの活動を評価する」賞を新たに作ったのでしょうか?

 創設の理由は3つあります。1つは、アウトプットだけではなくブランディングの“活動そのもの”を評価する賞が必要であると考えたためです。多くのブランドアワードやビジネスアワードは成果に対して贈られるものですが、私たちはブランディングというものは「活動プロセスをしっかり見て評価するべきもの」と捉えています。

 特にコーポレートブランディングの場合、取り組み続けることが重要ですよね。またコーポレートブランドは様々な外部要因によって影響を受けるので、パフォーマンスマーケティングのように単純な数字的なものだけで成果を測るべきでもありません。

 もう1つは、金額ベースのブランドランキングではなかなか出てこないけれど、良い活動をしているブランドを世に発信していきたいと考えたためです。金額換算による評価でランキングに入るのは、やはり相当規模のブランドばかりです。しかし、ランキングに入らなくても優れたブランディングの活動を展開している企業・団体は多数あるので、そうした活動を発表していく必要性を感じていました。

 最後に、このアワードを通してブランド担当者が集えるプラットフォームを作りたいと思ったためです。ブランディングを担当している部門は企業によって様々で、コミュニケーション部門もあれば広告宣伝、経営企画、マーケティング、広報などバラバラです。そのためなかなかブランディングに関する知見や情報交換が行いにくいという声をよく聞いていました。そこで、このアワードを基盤に、ブランド担当者のコミュニティプラットフォームを作りたいと思ったのです。

コロナ禍で生じたブランドを取り巻く環境変化

──第6回となるJapan Branding Awards2024では、スタートしてから初めてブランドの評価軸をアップデートされたとうかがっています。その理由をうかがえますか?

 アップデートしようと考え始めたのはコロナ禍の時期でした。コロナ禍を契機にブランドを取り巻く環境は大きく変わり、「ブランドに求められる役割」について考え直すきっかけとなったのです。

 具体的には、コロナ禍以降、「ブランドは売上を求めるだけでなく、社会変革に対しても責任を持つ必要がある」という認識が非常に強まりました。グローバルPR企業のエデルマン社が毎年実施している「エデルマン・トラストバロメーター」でも、人々はブランド企業に対し「高品質な製品を適正価格で販売するだけでなく、社会変革においてリーダーになることを期待している」という結果が出ています(※)。またESG投資が伸びたり、SDGsが人々の購買意向を左右したりするなど、実際に市場行動に表れ始めています。

 では、こうした社会変革においてブランドの立ち位置はどこにあるのか。一口にブランドと言っても、ロゴ・シンボルであったり、信頼・信用だったり、無形資産だったり、あるいは企業そのものであったり、いろいろな立場がありますが、究極的にはブランドとは「人との接点で生まれるもの」だと考えています。つまり「人によって異なるブランドの位置付けをどう捉えるか」をしっかり考える必要があるわけです。

 これまでのマーケティングでは、市場でセグメントを切ってお客様をターゲティングし、ポジショニングしていくSTPの考え方が主流でした。つまり企業側が立ち位置を決めていたのですが、今はそういう時代ではありません。ブランドの立ち位置を決めるのは、ブランドではなく「人々」です

 これまではブランドが「我々はこれを提供したい」と領域を決めていました。しかし今は「人々が実現したいことを、我々はどのように支援できるか」という考え方から出発し、その結果「その領域にいることを顧客から認められる」という形に変化することが求められています。つまり社会変革だけでなく、ブランドと人間という関わり方、つまり人間軸でも変化を起こす必要があるのです

 そこで「社会起点・人間起点で、あるべきブランディングを考えていこう」と動き始めました。2022年12月に5回目のJapan Branding Awards贈賞式があり、2023年が始まってすぐに「この1年間をかけてアップデートをしていこう」とスケジュールを引きました。

(※)Edelman Trust Barometer report(世界信頼力調査)2024年調査

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/04/21 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48518

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