顧客のニーズを掴むインテント
新カテゴリーを浸透させるには、顧客ニーズを継続して捉えることが欠かせない。花田氏によると、こうした顧客ニーズの把握と成果の最大化において、「Marketing Marker」が大きな役割を果たすと言う。
「Marketing Marker」では、Web検索行動などを“インテントデータ”として捉え、同社が保有する約520万社分の企業データと掛け合わせることで、どの企業が、どのようなテーマに関心を寄せているのかを可視化できる。インテントデータとは、企業の関心や検討の兆しを示す行動や反応をもとに、意向を読み解くためのデータである。たとえば「〇〇業界の中でも、従業員100~300名未満の企業からの検索が最も多い」といったように、誰が、いつ、何に興味を示したのかという“動き”を把握することで、“マーケットを可視化する”ことが可能になる。
こうした可視化は、いわゆるコンバージョンを前提としない。たとえ問い合わせや資料請求が発生していなくても、広告や動画、ホワイトペーパーなどの認知施策に対する関心や反応の“兆し”を、インテントデータとして定量的に捉えることで、市場の動きそのものを読み解くことができる。カテゴリー戦略においては、フェーズごとに展開される施策が、実際にどのセグメントにどれだけ届いているのかを把握することが重要だ。こうした“反響”を可視化することで、マーケティング戦略全体の設計と改善に活かすことができるのだ。
こうして可視化されたインテント情報は、単なるデータにとどまらず、具体的なアクションへと直結させることができる。関心の兆しを捉えた企業に対して、最適なチャネルやタイミングでアプローチを設計できるため、従来の一律な施策では見逃していた“検討中の企業”への接点を確実に生み出すことが可能になる。つまり、「いま、誰が、何に関心を持っているか」がわかることで、マーケティング全体を静的な設計から動的な意思決定へと進化させ、成長戦略におけるマーケット開拓の質とスピードを大きく高めることができるのだ。

カテゴリーは「顧客の頭の中」に想起されるもの
花田氏は「コモディティ化した企業や商品こそ、カテゴリー戦略を考えることをおすすめします」と提案する。「市場には比較対象があふれています。お客様が商品を選ぶ際には、いくつかの選択肢を比較したうえで選んでいる。だからこそ、“他とは違う価値”を自社で明確に定義しておくことが、選ばれる理由になるのです」(花田氏)
また、カテゴリーは企業側が発信するものではあるが、顧客の頭の中に想起されるものでもあるとした。「カテゴリーはお客様起点で考え、製品やサービスが想起されることが大切です。まずは自社の顧客にどれだけ丁寧に向き合えているかを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか」(花田氏)
田岡氏も同意し、「お客様に対し、“一言で言うと”と言えるものがカテゴリーです。お客様の頭の中で想起され、頭の中に残るものでないといけません」と語る。さらにこう補足する。「たとえばお客様がそのプロダクトを、社内会議にかけようとしたとき、上司に報告しようとしたとき、あるいは友人にシェアしようとしたときに、どう説明し、どんな言葉で紹介するのか。そのときに自然と選ばれる表現こそが、まさにカテゴリーだと思います」と補足した。
加えて田岡氏は、カテゴリーは自社だけで完結するものではなく、競合や周辺プレイヤーも含めて創られていくものだとし、「カテゴリー浸透は、“エコシステム”つまり生態系のような広がりとして捉えていくとわかりやすい」と補足する。「インテントセールスにも共に啓蒙活動を行ってくれるパートナーが多くいます。そうした仲間と共通の文脈で発信し続けることで、カテゴリーに厚みが生まれ、結果として自社の持続的な事業成長につながっていく。これが、私たちが考えるカテゴリー戦略の真髄です」(田岡氏)
最後に田岡氏は「皆さんと一緒にカテゴリー戦略を盛り上げ、日本からグローバルに発信できる新しいカテゴリーを作っていけると嬉しいです」と締めくくった。
カテゴリー戦略を伴走します!
Sales Markerは、suswork社と連携し、カテゴリー戦略支援パッケージ「CATEGORY」を提供しています。既存の競争軸にとらわれず、顧客の課題起点で“自社が勝てる構造”を設計するアプローチであり、カテゴリー戦略を単なるラベリングではなく、事業成長につながる仕組みとして機能させることを目的としています。ぜひ以下の問い合わせフォームよりお問い合わせください。