コンテンツとプロダクトの連携で競合と差別化
AMBIではユーザーに支持されるため、コンテンツやユーザー体験に様々な工夫をしてWebメディアを運営している。白石氏は大きく3つに分け、「写真クオリティ」「ストーリー」「プロダクト連携」を挙げた。
写真については、「企業やその人から醸し出される世界観が伝わることを大切にしている」と述べる白石氏。撮影は基本的にプロカメラマンではなく、社内のメンバーが担う。しかしながら、撮影方法を社内勉強会で共有するなど日々の研鑽を行うことで、クオリティを担保したものとなっている。

取材記事は1本3,000〜4,000文字ほどの長文コンテンツとなるが、多くのユーザーに読まれている。そのなかで、先述したように企業やそこで働く人の志、パーパスなどが伝わる「ストーリー」だ。たとえば、こども家庭庁への取材などは大きな話題に。記事内に設置したポップアップのアンケートでは、頻繁にユーザーからコメントが送られてくるのだと言う。

また、競合サービスとの差別化ポイントの1つともなっているのが、取材記事とプロダクトとの連携だ。記事の途中に求人情報が入るが、そこでその企業の求人に興味がある場合は「興味あり」ボタンを押せる。そうすると、企業側からそのユーザーの経歴や能力をもとに、採用の可能性がどの程度あるのか3段階での評価が送られてくる。いきなり正式な応募をするのではなく、記事を読んで気になったらボタンを押せるようにすることで、ユーザーと企業双方のマッチング度合いをライトに知れる、というわけだ。

「コンテンツとプロダクトを連携することによって、ユーザーの方々の『自分にはどのような可能性があるか市場価値を知りたい』といったニーズも満たす仕組みになっています。こうした点も弊社ならではの特徴であり、力を入れているポイントです」(白石氏)
ユーザーをファンにし、企業に活用されるコンテンツ
AMBIが企業の志やパーパスを発信してきたことは、ユーザーや企業にどのように受け止められているのだろうか。
ユーザーからは、「理念がしっかりとインタビューされており、とても良い記事だと思いました。私もエントリーしました!」といった声のほか、自身はエントリーしなかったものの「(企業の)熱い想いが感じられ、個人的に応援したくなりました」という声もよくあるという。
「エントリーしなかった場合でも、読んだ人がその企業に好感を持ち応援したくなるコンテンツを届けられたのは、私たちだから提供できている価値ではないかと自負しています」(白石氏)

一方、求人を出している企業側からも、「わかりやすい文章と魅力的なお写真で(記事を)作成いただきありがとうございました。社内の人間だけではたどり着けなかった言葉を紡ぎ出して表現いただき、とても勉強になりました」という声が届いている。なかには、自社の取材記事を採用選考に活用しているところもある。
「求職者の方に我々が制作した記事を共有し、面談前に読んできてくださいといった形で、採用フローに組み込んでいただいているところもあります。こうした活用をしていただけるのは、企業への理解が深まったり、共感を得られたりするコンテンツを用意できているからではないかと思っています」(白石氏)