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有園が訊く!

AIが購買行動に介入する時代、ダイレクトマーケティングはどう変わる?【加藤公一レオ×有園雄一対談】

ダイレクトマーケティングの現場での勝ち筋

有園:ビジネス環境は激変が続いています。そんな中、マーケティングの手法はどう変わっていますか。

加藤:私が25年前に通販の仕事を始めたころと比べると、プレーヤーが非常に増えました。すべてのカテゴリーで競合がひしめいています。そんな中、最近のクライアントの実績を見ると、桁違いに伸びている手法が2つあります。

 まず、インフルエンサーをうまく活用する手法です。昔はバナー広告をがんがん打てば顧客を獲得できましたが、今はインフルエンサーネットワークをうまく活用している健康食品や化粧品のブランドが伸びている印象です。

 もう一つは、無料モニターなどを活用した「ツーステップマーケティング」。初回割引や無料サンプルなどを提供し、その後に定期購入してもらう手法です。昔からある手法ですが、原点回帰していて、勢いがあります。現在は情報過多、競合過多であるため、差別化のポイントにもなっています。

有園:加えて、企業のブランディングのやり方も変わっているのではないでしょうか。ブランディングによって消費者の意識を変える目的が、コンバージョンだけではなくなっているように思います。

加藤:私は「きれいなテレビCMを流すこと」がブランディングではないと考えています。本当に効果的なブランディングをやっている企業は、顧客獲得後の施策がすごいのです。

 たとえば、ある化粧品ブランドは、商品と一緒に配送する同梱物がとても美しい。そこに自分たちの理念や思いを込めているのです。他にも、ファン活動やイベントを開催したり、定期的に動画を配信したりするなど、受注を取った後にしっかりとブランディングに取り組んでいる会社が伸びています。LTV(顧客生涯価値)を上げることが大事なのです。本当の意味のブランディングとは、ファンづくりです。

伸びる企業が実践する「真のブランディング」

有園:非常に重要なお話ですね。昔の広告業界では「ブランディングの効果は測れない」という考え方もありましたが、それでは施策がLTVにどんな影響を与えているのかわかりません。顧客にリーチした後のブランディングは、LTVを高める上で非常に大事だと思います。言い換えるとナーチャリング(顧客育成)と同じですね。

加藤:ダイレクトマーケティング企業における購買後の取り組みは、2つに分かれると思います。一つは、しっかりとナーチャリングに取り組み、顧客との関係を構築しようとする企業です。もう一つは、関連商品の追加購入を勧めるクロスセルばかりをしようとする企業。それだと既存客に宣伝ばかり押し付けることになってしまいます。

 適当にメルマガを送るような施策ではなく、顧客との関係をしっかりと築いて、本当の意味のブランディングを重視する企業が伸びるのだと思います。

有園:他にも実感している変化はありますか。

加藤:オフラインメディアの施策を取り入れるクライアントが増えているように感じます。インフォマーシャルや折り込みチラシ、新聞広告をやりたいという声をよく聞くようになりました。ネット広告は競合が多すぎる上に、需要を取りきってしまったと感じているのだと思います。

有園:今回は広告の本質的なお話が聞けました。コンバージョンで終わるのではなく、継続的な視点が重要ですね。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49114

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