Xではコミュニケーションを通してUGC創出を狙う
――具体的にSNSでどのような施策を行っていますか?まずXについて教えてください。
日々の投稿としては、dポイントに関するTipsや加盟店様のキャンペーン情報、Xで盛り上がりやすい「○○の日」といったモーメントに合わせた情報を軸に発信しています。
加盟店様のキャンペーン情報もお客様に届けたい情報ですが、どうしても広告的なアプローチになりがちです。そこで工夫しているのが、コミュニケーションと組み合わせた投稿にすることです。
たとえば飲食店様のキャンペーンであれば「好きなメニューは何ですか?」といった問いかけから始め、加盟店様のキャンペーン情報につなげていきます。選択式の質問を投稿しリポストやリプライを促すことでエンゲージメントや会話量の増大につながり、投稿自体が伸びていきます。その流れで「今、このお店でこんなキャンペーンやっていますよ」と伝えると、自然な形で情報が届けられます。

――情報をただ伝えるのではなく、どうやってXの媒体の空気感になじませるかという工夫をされているのですね。Xではハッシュタグも活用されていますよね。
そうですね。以前はXで「dポイント」と検索しても私たちが望むUGCがあまり出てきませんでした。そこで、オリジナルのハッシュタグを作り、皆さんが参加しやすい形にしました。定期的なキャンペーンでボトムアップしながら参加者を増やし、ハッシュタグのバリエーションも増やしていきました。現在では特に私たちから働きかけずとも「#dポイント報告」などのハッシュタグが常に使われる状態を作れています。
また、月に1回程度、フォロー&リポストキャンペーンを実施し、ハッシュタグでお題を設定して投稿を促しています。最近では100万フォロワー達成を記念して「#もしも100万dポイントあったら」というお題を出したところ、ユーザー様から様々な夢のある回答が寄せられ、通常の2倍程度の会話量になりました。

――動画フォーマットも模索されているとのことですね。
Xに「動画」タブが作られたことで、動画コンテンツのインプレッションが伸びやすくなると推測されるので、最近ではX特化の動画フォーマットを模索し始めました。以前からXでGIFアニメなどを活用してきましたし、Instagramではリールを頻繁に投稿しています。しかし、InstagramとXでは伸びる動画のアルゴリズムにも違いがあるため、X向けに最適化した動画を作ることが重要だと考えています。
入口から送客まで、3つのフォーマットを使い分けるInstagram
――Instagramではどのような施策を行っていますか?
Instagramでは3つの投稿形式(リール、フィード、ストーリーズ)それぞれに役割を持たせています。リールは広く動画でインプレッションを取りやすく、フォローしていない方にも見てもらいやすいという特性があります。そこでdポイントのキャラクターの「ポインコ」を起用した動画やゲーム性のあるコンテンツを投稿し、dポイントやポインコへ興味を持ってもらうようにしています。まさに、最初の入口の役割です。

フィードでは、主にアカウントをフォローしていただいた方に向けて、dポイントに関するTipsや加盟店様のキャンペーンまとめなど、情報としてストックしてもらえるコンテンツを提供しています。そして、ストーリーズでは、リンク機能を活用して加盟店様とのキャンペーンページへの送客や、ユーザー様とのコミュニケーションを図るための投稿を行っています。
――リールではどのようなコンテンツが効果的なのでしょうか?
約1年半の間、様々なコンテンツを毎月試した結果、動画の長さなど様々な知見を蓄積できました。その中でも、5~6秒の「短尺」で「画面タップを促す」ような投稿が最も効果的だという結論に至りました。これはInstagramの媒体特性というよりも、dポイントクラブをフォローしてくださっているユーザー様の行動原理に基づいたものです。
――フィード投稿ではどのような工夫をされているのですか?
フィード投稿で行っている「加盟店まとめ」投稿は、ポインコを大きく配置したり、「○月まとめ○選」といったテキストに背景をつけて視認性を高めたり工夫しました。こうしたクリエイティブのPDCAを回した結果、当初の反響は比較的低めだったところから、最もインプレッション数を獲得できるコンテンツの一つに成長しました。この成功体験を、Tips投稿など他のカテゴリーの投稿にも展開し、全体的な底上げにつなげています。

また、Instagram広告の配信方法も工夫しています。当初は「トラフィック目的広告」を出稿し、dポイントに関心を持つユーザーとの接点を増やすことで、懸賞目的ではなくdポイントそのものに関心を持つ方々からのフォローとインプレッション数の増加を狙っていました。配信を重ねる中で、目標としていたユーザー層からのフォローが増えたため、KPIであるインプレッション数に対するアクションの再検討をした結果、2024年10〜11月頃には広告配信の目的を「リーチ」へと切り替えました。これにより、1投稿あたりのインプレッション数の底上げにつながりました。
――UGCについてはいかがですか?
Xに比べるとInstagramでのUGC創出に重きは置いていません。というのも、たとえばポイントを使ってドーナッツを買ったとしても、真っ先に目に入るものは購入商品のドーナッツです。無形商品をビジュアルで訴求することは難易度が高いのです。そのため、先ほどお伝えした情報の提供や、ポインコによる訴求を強化しています。
MetaプラットフォームでのUGC活用という点では、Threadsの動向に注目しています。Threadsのアカウントも10万フォロワーを超えるまでに成長していますので、Instagramとの連携も視野に入れながら、MetaプラットフォームでもUGC創出に取り組めたらと考えています。