CVR約3倍、ROASは10倍に。方針転換が奏功
MZ:電通デジタルとの取り組みについて、DHCとしてどのように感じていますか?
須田:配信のプランニング以外にも、非常に手厚い支援をいただいています。毎週の定例会議に加えて、クリエイティブを深掘りする場、システム連携に関する技術的な検討会、月々の成果報告、さらにLINEヤフー社との合同ミーティングなど多面的な体制が整備され、総勢約30名の方々に携わっていただいています。
三ツ橋:リッチメニューやメッセージ配信のクリエイティブ部分は、配信クリエイティブのA/Bテストを繰り返し改善する取り組みを一緒に実施させていただいています。私たちの想定とは違うクリエイティブの反応がいいこともあり、現在もテストをしながら効率の良い配信施策を目指しています。
MZ:これまでお話しいただいた取り組みの成果はいかがでしょうか。
須田:全配信に偏っていたLINEの配信を見直し、パーソナライズ配信に大きく舵を切ったことで、従来に比べCVRは約3倍になりました。ユーザー行動に連動した自動配信においても、従来の配信に比べてROASが10倍を超える成果が出ています。
キム:この他、ID連携者数はご支援を始めてから120%以上になりました。これも大きな成果の一つですね。

数千のシナリオで目指す、究極のOne to Oneコミュニケーション
MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。
須田:今後は、より高度なOne to Oneコミュニケーションの実現にチャレンジしていきたいと思っています。理想としてはお客様一人ひとりの行動に応じてメッセージを届けることです。これから数百数千のシナリオを作っていきたいと思っており、最適な情報やサービスを提供することで顧客満足と売り上げ拡大を実現したいですね。
個別最適化の取り組みは、私たちのパーパス「しあわせを、ふつうに。」とも深く関係していると考えています。お客様にとって自然でストレスのない、日々の生活の延長線上にあるブランド体験価値を提供することは、まさにその実現に向けた一歩といえます。
三ツ橋:DHCのサイトへの訪問はLINE経由も多いので、ID連携の促進と配信精度の向上は共通の課題です。一方で、ID連携者へのパーソナル配信は効率よく売り上げを積み上げることができているので、配信精度の向上を図ることで、効率的な売り上げ拡大と顧客定着につながると考えています。今後は今まで以上にお客様に寄り添ったパーソナルな配信をお届けしていきたいですね。
キム:より一層、顧客解像度を上げて、お客様の体験価値の高度化を図っていければと思っています。短期的な売り上げはもちろん大切にしながらも、中長期的にお客様がDHCブランドを好きになり、つながり続けたいと思っていただくことが重要です。
そのためにはやはりデータを使っていくことが必要となります。当社としてデータビジネス領域は業界でも先駆けて注力してきた部分なので、DHC社がお持ちの1stパーティーデータはもちろん、国内電通グループ(dentsu Japan)が持つ独自のデータや、3rdパーティーデータも活用可能です。テレビ視聴データとデジタル施策を掛け合わせた施策も可能ですので、こういった強みを活かしながら顧客解像度をもう1段階上げ、より細かなマーケティング施策に落とし込んでいきたいですね。