PRで検索広告の「獲得ゾーン」を拡大する
PRはPublic Relationsの略で、文字通り社会と企業の良好な関係作りを意味する。そのPRのなかでも、検索創出型マーケティングにおけるPRは「パブリシティ」に関わるものだ。パブリシティとはプレスリリースの配信や記者発表会、インタビューなどの活動のこと。ポイントとなるのは、いずれも金銭報酬を介さない、つまり広告費を払って記事を作成するペイドメディアとは異なる点だ。ちなみにキーワードマーケティングでは、検索創出型マーケティングにおけるパブリシティを広く捉え、SNSマーケティングや、客観的な視点で編集された動画広告コンテンツもパブリシティと位置付けている。

「具体的にいえば導入事例もPRの1つです。ユーザーであるお客様企業に『このサービスが良かった』と語っていただく動画をタクシー広告で流す。これもPR的な手法でコンテンツを世の中に出していく手法です」(瀧沢氏)
ただ、こうした動画広告施策はめずらしくはない。実際に動画広告がきっかけでテレビやメディアに取り上げられることは多いが、検索創出型マーケティングは未来を戦略的に予測・設計して売上につなげていく手法だという。
PR×マーケティングが有効な理由
なぜPRがマーケティングに有効なのか。それは「当社の製品はこんなに素晴らしい」と訴求する広告と異なり、PRを起点にしたメディアの記事は「第三者視点」で作られているからだ。たとえば広告の文言は信用できなくても、テレビ番組やネット記事で有識者が「この製品がいい」といえば信頼性が上がるのと同じだ。
そのため検索創出型マーケティングでは、有識者のコメントや記事を捏造したり、金銭報酬が介在したりすることは絶対にあってはならない。そしてPR施策だけで確実に獲得できる検索層を拡大できるかといえば、どうしても不確定要素があるのも事実だ。
それでも第三者による客観的なメッセージで共感・信用を促せられれば、「工夫次第でマス広告以上の成果を出せることがあります」と瀧沢氏は話した。メディア記事に限らず、XやInstagramのインフルエンサーやUGCで話題になれば、PR施策のレバレッジがより効いて大きな効果が期待できる。

さらにいえば、PRだけで満足せず、広告やランディングページなどで自己PRしていくことも必要だ。なぜならPRの記事で興味を持ったユーザーが検索し、詳細を知るには、検索して表示させるコンテンツが必要となる。ここでしっかり自己PRをメッセージとして定着させることで、コンバージョンを促しやすくなるからだ。