コンバージョンにつながる検索を創出した2社の事例
実際に検索創出型マーケティングで、どれだけの効果が期待できるのだろうか。瀧沢氏は2つの事例を紹介した。
1つは、金融関連サービスを手掛けるバンカブルの広告費分割・後払いサービス「AD YELL」を訴求する取り組みだ。元々は「経営者や事業責任者クラスの人に、ピンポイントでサービス機能を効率よく訴求できる手法が少ない」という課題解決に向けた施策で、これはベクトルグループが展開するタクシー広告を使って動画でサービスを訴求した。なお流す動画は、広告枠で流すCM動画と、メディア枠で流す客観的に編集した動画の2本を併用したという。
するとメディア枠動画のほうが、圧倒的に検索効果が高いという結果が得られた。CMと併用したことでさらにレバレッジがかかったと見られ、実際の問い合わせ数はどちらもほぼ同等との効果が得られたという。
もう1つは、「お仏壇のはせがわ」で有名な仏壇メーカー、株式会社はせがわの取り組みだ。同社では、現代風のリビングに置いてもなじみやすい洗練されたデザインの仏壇「リビング・コレクション」を展開していたが、このブランドの認知度がなかなか上がらず、苦戦していたという。
そこでキーワードマーケティングが「リビング仏壇」という新しいキーワードを提唱し、この概念と商品について訴求する記者会見を設定したところ、多くのメディアの興味を引き、記事化につながったという。ヤフーのトップニュースに掲載されたほか、経済新聞で大きく紙面を割き紹介されたところ、「リビング仏壇」の検索数が跳ね上がり、売上向上につながった。
検索数と売上額の相関関係もデータ分析で明らかになっており、施策を実施した株式会社はせがわの社内でも高く評価されたそうだ。ちなみに施策にかかったコストは数百万円で、テレビCMのコストより抑えた金額で大きな成果が出たという。
検索創出型マーケティングを成功させるための6フェーズ
そんな検索創出型マーケティングは、どのような流れで実現できるのか。瀧沢氏は6つのフェーズを掲げている。
第1フェーズでは、どんなキーワードを広めていくかを決める。このフェーズでポイントとなるのは、検索しやすいキーワードを設定することだ。見た目にかっこいい英単語や漢字の当て字を使うと、かえって検索行動を阻害することにもつながりかねず、できるだけシンプルで入力しやすいワードのほうが望ましいという。ハッシュタグを付けてUGCで発話されることもあるので、幅広い年代に覚えて貰いやすい言葉であることも重要だ。
そして第2フェーズで顧客との接点となり得る場所をすべて洗い出し、第3フェーズでタッチポイントを分類・整理する。効率的に検索創出型マーケティングを進めるにはこの第2・第3フェーズが重要で、「顧客接点の抜けがなく、自分たちでアプローチできる接点は自社でPRすることが有効です」と瀧沢氏は説明する。
ここでいうタッチポイントとは、SNSやDM、メール、PR、コンテンツ、自社メディアなどユーザーと触れる接点すべてが対象となる。そのうち自社発信できる接点はすべて押さえ、自社PRに努めることが大切だ。
そのうえで、自社だけではどうにもならないメディアへの露出を考えていく。そこで第4フェーズでは、メディアの相性や読者特性を考え、有料掲載するメディアを決定する。特に重要なのは、編集力の高いメディアを選ぶことで、普段からアンテナを張っておくことが望ましいという。
第5フェーズでいよいよメディアにアプローチを仕掛けていくが、自社に広報・PRがいない場合はベクトルグループのようなPRエージェンシーに相談するのも一手だ。またメディアの情報を熟知しているので、掲載されやすいメディアを相談できるというメリットもある。
最後に、PRアプローチによって検索ボリュームが増加することを見越し、運用型広告を事前にセットしておくとより効果が高まる。こうして検索創出型マーケティングを展開することで、「検索広告をすればするほど先細りになる」という縮小均衡リスクを解消し、売上効果につながるという。
最後に瀧沢氏は「認知と獲得をバラバラに考えるのではなく、認知を上げながら獲得につなげていくことで、高いレバレッジが生まれるのでぜひ検討してください」と述べ、講演を終えた。
コスパよく認知を広げながら、売上へつなげます
コンバージョン獲得が頭打ちになりやすい「顕在層」に対して、意図的に検索行動(検索ボリューム)を創出させることで、コンバージョン数をアップできる新しいマーケティング手法、「検索創出型マーケティング」を提供しています。
本記事で、広告とPRの連動施策にご興味を持たれた方はぜひお問い合わせください。