メディアプラットフォームの内・外で多彩なマーケティングを実現
セッションの中盤でキム氏は、先ほど示したコマースメディアにおける3つのメリットについて解説した。
近接性は、消費者が商品を検索し購買を検討している瞬間に広告を表示すること。正確さとは購買履歴や検索履歴、カート追加などの第一線データを活用した精緻なターゲティングを指す。透明性は広告表示から購入完了まで一気通貫での効果測定が可能であることを示す。
これは、オリーブヤングのプラットフォーム上で商品を販売するビューティーブランドがマーケティングで抱える課題を解決するものだと説明する。
商品の売上を上げ、成功させるためには「効果的なマーケティングや施策を実施することが重要だが、それは自社のサイトだけでなくマーケットプレイスも含まれる」とキム氏。それまで異なるチャネルにアプローチし、データにアクセスすることは簡単ではなかったが、この問題を解決してくれるのがコマースメディアだと話した。
「マーケティング成功のためにはターゲティング、A/Bテスト、ROI最適化などが必要ですが、ファーストパーティデータへのアクセス、効果を正確に測定できないなどの課題がありました。コマースメディアを導入することで、コマースプラットフォームが持つファーストパーティデータを使用して、メディアプラットフォームの内・外で様々なブランドがマーケティング活動を行い、広告を提供できているのです」(キム氏)
ROASは1,000%以上、差別化は「三方良しのエコシステム」
セッションの終盤、Kim氏は、MolocoのAIベースのMCMソリューションが、コマースメディアのパフォーマンス向上とビジネスインパクトの創出にどのように貢献したかを紹介した。
オリーブヤングには現在、1,600万人ものユーザーが登録しており、月間利用者数は530万人以上にのぼり、アプリには毎日約200万人の顧客が訪れている。
2025年上半期の実績では、総広告インプレッション数22億回、クリック数4,000万回を記録。ROASは約1,000%以上を達成、購入数は約410万件に達したという。また新商品ローンチキャンペーンの効果は、広告を利用しない場合と比較して、インプレッション数は18倍、クリック数は15倍、購入数は14倍と大きな違いがあった。
オリーブヤングの強みとして、キム氏は「美容に明確なニーズを持つユーザーベースが確立していることにある。このように特徴的なユーザー層があるからこそ、Molocoとのパートナーシップが成功している」と分析し、以下のように続けた。
「加えて、オリーブヤングのリテールメディアが成功している要因は、顧客、ブランド、オリーブヤング、三方良しのエコシステムを構築できたことにあると思っています。ユーザーには関心のある製品がレコメンドされ、ブランドは効率の良いマーケティングが実現し、我々は次の成長を加速するため収益が得られるという、エコシステムになっているのです」(キム氏)