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動画広告の成果をどう測る?電通デジタルとライフネット生命が事業貢献度を可視化!

 「なぜ投資するのか」「成果は出るのか」が強く求められるマーケティングにおいて、事業貢献度の可視化は多くのマーケターにとっての課題だ。とりわけ効果の可視化が難しいとされる動画広告について、ライフネット生命は、電通デジタルとともにデータクリーンルーム(DCR)を活用した独自の指名検索数リフト分析を実施。その重要性を可視化したという。両社に、取り組みの詳細と成功の秘訣をうかがった。

再びディスラプターとなり、新しい成長モデルを構築する

──はじめに、ライフネット生命の事業および、マーケティング戦略についてお聞かせください。

青木:ライフネット生命は、インターネットを介して生命保険を提供しています。お手頃な保険料を実現できる点、契約手続きがネット上で完結できる点が強みです。中期戦略として、現在リブランディングを進めています。

ライフネット生命保険株式会社 マーケティング部 青木 雄太郎氏
ライフネット生命保険株式会社 マーケティング部 青木 雄太郎氏

 設立当初は競合他社がほとんど存在しませんでしたが、現在は市場が非常に活発化している状況です。だからこそ再びディスラプターとなることを目指し、新しい成長モデルを構築していきたいと考えています。

 リブランディング戦略の中で、私はプロモーション業務を担当しており、施策の立案・検討を進めています。基本的にはオンライン施策が中心ですが、オフラインとの連携も視野に入れています。

 今回は電通デジタル様に協力いただきながら、重要な中間指標である指名検索数の可視化に取り組みました。中でも動画広告はKPIの設定と効果の可視化が困難であると感じていました。そこで、YouTube広告が指名検索数にどの程度貢献しているかを可視化したいと考えていたのです。

データクリーンルーム活用で指名検索数のリフト分析を実施

──ライフネット生命の課題に対して、電通デジタルは具体的にどのような提案をされたのでしょうか?

久保田:ライフネット生命様での申込数等を計測するツールやGoogle・Yahoo!などの広告実績だけでは分析に限界があるのではないかと考え、データクリーンルーム(以下、DCR)の勉強会を実施させていただくとともに、指名検索数のリフト分析を提案しました。広告を1ヵ月間配信し、その後1ヵ月かけて分析を行います。さらに、分析終了後の1ヵ月後に振り返り(レビュー)を実施するスケジュールです。

株式会社電通デジタル パフォーマンスエクセレンス部門 第1事業部 久保田 脩平氏
株式会社電通デジタル パフォーマンスエクセレンス部門 第1事業部 久保田 脩平氏

──どのようなソリューションを用いて実施したか詳しく教えてください。

加藤:今回、docomo data squareというデータクリーンルームを活用しました。具体的には、まずdocomo connecting path(以下、コネパス)というポストCookieソリューションを用い、対応タグをライフネット生命様のサイトに埋め込み、URLのパラメータから指名検索を行ったユーザーを抽出し、そのユーザーを基にした指名検索来訪者の予測モデルを作成しました。

 その後、今回はYouTube広告の効果検証を目的としていたため、指名検索して来た人たちのdocomoの属性データで可視化(把握)し、その属性を使ってターゲット拡張した予測の指名検索者来訪ユーザーデータをYouTubeのデータクリーンルームに突合。広告接触が指名検索にどの程度寄与したかを可視化しました。

取り組みの概要図です
取り組みの概要

──docomo data squareの特徴も教えてください。

加藤:docomo data squareの強みとしては、まずドコモの全国会員データ、つまり属性情報やアンケートデータなどが含まれている点が挙げられます。これらのデータとコネパスで取得した来訪データをID単位で結合することが可能で、サイトに来訪したユーザーがどのような特性を持っているかを可視化できます。

docomo data squareの説明図です
docomo data squareとは

広告接触者の指名検索率は非接触者対比58%高い、確実な貢献を可視化

──今回の取り組みによって、得られた成果をお聞かせください。

加藤:広告接触者と非接触者を比較した際の効果モデルを用いたスコアの分布を算出したところ、それぞれのボリュームゾーンに明確な違いが見られました。具体的には、YouTube広告接触者は非接触者対比で指名検索率が58%高いことが明らかに。YouTubeによる広告接触は指名検索率向上・指名検索数増加に寄与していると推察されます。

 さらに社名検索への貢献を分析したところ、YouTube広告出稿期間における社名検索のインプレッションの内、YouTube広告接触者は約49%。社名検索のインプレッションの内、約18%の社名検索数を純増で獲得すること することに貢献していると推察されています。

株式会社電通デジタル ストラテジー部門 マーケティング戦略部 コンサルティンググループ 加藤 歩未氏
株式会社電通デジタル ストラテジー部門 マーケティング戦略部 コンサルティンググループ 加藤 歩未氏

 広告接触が確実に効果を発揮していることがわかる興味深い結果でした。動画広告は認知には効果がありますが、それ以降の効果可視化は、DCRを使用しなければ実現できないことが多いのが現状です。動画広告の認知効果より深い部分まで分析し、短期的な直接貢献ではない、従来は中長期的な効果として捉えられていたブランディングの一部を、「指名検索」への変化という中間指標を通じて、定量的に評価し、PDCAのサイクルに組み込めるようになったことに大きな意味があったと思います。

「分析した」で終わらせない、結果をネクストアクションへ

──今回の内容を聞いて、自社でも指名検索数リフト分析を実施したいと考える企業もきっと出てくるのではないかと思います。ライフネット生命が今回の取り組みが成果につながったと考える要因があれば、お聞かせいただけますか。

青木:分析が無駄にならないようにすることを考えていました。そのため、まず適切なステップを踏んで進めているということを明確に示した上で、今回の取り組みが従来と比較して何が異なるのか、この分析結果を得ることによって、次にどのような展開が可能になるのかという点まで事前に整理して共有していました。

 現時点で次のステップとして考えていることの一つに、動画クリエイティブの最適化が挙げられます。最適化により、指名検索数の向上にさらなる改善の動きが見られるのではないかと見込んでいます。

 また、メディア最適化という観点も重要視したいと考えています。今回はYouTubeで実施しましたが、他の媒体ではどのような結果になるのかも気になるところです。

DCRにおける、電通デジタルの優位性とは?

──ちなみに今回、電通デジタルの提案を受け、ライフネット生命が今回の取り組みを実施しようと決めた理由はどこにありますか?

青木:やはり効果の可視化ができる点が大きな価値だと考えました。これまで見ることができなかった内容を、データを突合することで、より高い精度で可視化できるようになるという点が最も重要だと思っています。そして何より電通グループが豊富な実績や、高い専門性・ノウハウをお持ちなので、安心してお任せできると思いました。

久保田:ライフネット生命様との取り組みでは、不明点をクリアにするため、事前の勉強会でDCRとは何なのかという基本的な部分から、分析手法、実施する価値などについてディスカッションを重ね、様々なパターンの中から選択いただきました。パッケージ化したソリューションを提供するのではなく、ライフネット生命様の課題をうかがった上でカスタマイズしたものです。

青木:当社が抱えている課題に対して正面から取り組んでいただき、非常にありがたく感じました。また、勉強会で理解を深められたため、上長に対して取り組みの意義を説明でき、理解を得ることができたと思います。

久保田:電通デジタル・電通では、DCR関連の取り組みを2020年頃から本格的に開始しており、年間1,000件以上、累積で3,000件以上を積み重ねております。実績を通じて学んだ分析ロジックや運用上ノウハウ、運用基盤システムは、業界の中でもかなり優位な部分だと考えています。

 最近では様々な媒体社様から、DCRの企画開発段階からサポートしてもらいたいというお声もいただいています。そのため、クライアントに価値を提供するにはどうすればよいか?という観点から媒体社様にフィードバックを行い、必要な機能を実装した上で開発を進めることで、電通デジタルでしかご提供できないデータや機能も多く存在しているので、クライアント企業の個別のきめ細やかな課題に対応する柔軟性も強みだと考えています。

加藤:事業課題のヒアリングと分析にとどまらず、分析後の施策立案からROIの向上や顧客体験の改善まで実行し、PDCAをしっかり回すことが電通デジタルの強みだと考えています。

今後はより事業目標に近い分析を

──電通デジタルは、今後ライフネット生命へどのような支援を提供していきたいですか?

加藤:今後は事業目標に直結する分析へと発展させ、より深いコンバージョンで、たとえばLTVなど高い価値のコンバージョンに繋がるユーザーの特徴分析や、その結果の最適化まで一貫して対応できるフルファネルでの提案が可能だと考えています。また、現在様々な媒体でDCRの活用を検討いただいており、複数の媒体での比較分析も実施できるとより良いと思っています。さらに、クリエイティブ別でも各コンバージョン地点への効果を可視化することができるようになると、なお良いと考えています。

久保田:ライフネット生命様のお客様が増え、その一人ひとりがライフネット生命様のプロダクトで幸せになっていただくことが重要だと考えています。ライフネット生命様が成長し、お客様が幸せになり、私たちもそれによって成果を得るという、三方良しの関係を築いていきたいです。

 今回のように、「見えそうで見えない」という課題は多くあるため、今後も一つひとつクリアにしながら進化させていきたいです。

──指名検索数リフト分析などに興味のある読者に向けたメッセージをお願いします。

久保田:電通デジタルでは、指名検索数リフトはもちろん、今回ご紹介したdocomo data squareをはじめ、クライアントの課題に合わせたソリューションやツールを駆使した課題解決方法をご提案いたします。分析で困った際や、現在見ることができない部分を可視化したいとなった場合は、ぜひご相談ください。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/25 11:00 https://markezine.jp/article/detail/49430