プライバシー配慮とCookie問題への対応を機に進化
──個人の購買傾向を把握することによる的確なターゲティングで成果につなげるとのことですが、プライバシー保護の面では問題ないのでしょうか?
フランスで創業したCriteoは、世界最高水準のプライバシー規制であるGDPRに完全準拠して運営しており、日本でも法に則って適切にデータを管理しています。

最も重要な点として、Criteoは個人を特定できる情報を一切保有していません。個人の行動傾向を理解しているだけで、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報は収集・保有していないのです。匿名化されたユーザーの行動パターンを分析し、「Aさんが○○を買った」ではなく「○○のような商品を好む傾向のユーザー群」という匿名セグメント情報として蓄積しています。
──Googleが3rd Party Cookieの廃止を棚上げした件は、どのように考えていますか?
業界にとって非常に良いことだったと考えています。前提として、3rd Party Cookie廃止問題が上がったことで、新たなイノベーションが大きく進んだと感じています。
Criteoでも、Cookieに依存しない世界に備えて技術開発を進めました。これにより、お客様はご自身のマーケティング課題を解決するための選択肢が、これまで以上に広がっています。そして、3rd Party Cookieを利用できることで、従来のリターゲティング広告も引き続き高い成果を維持できる状態が整いました。
【事例】ROAS維持でCV約7割増!アパレル・人材で高い成果
──コマース・オーディエンスは、どういった業種で成果を出しているのでしょうか?
主に、小売と旅行、クラシファイド(人材や不動産など、いわゆる購買ではなく、申し込みや会員登録を主とする業種)が挙げられます。全体平均では、CPA105%でコンバージョン件数は20%増という結果が出ており、アパレル業界はこれを上回る成果を示しています。
たとえば、ある国内大手アパレルブランド様のEC事例では、配信ボリュームを約40%増加させたにも関わらず、ROASをほぼ維持することに成功しました。具体的には、CPAの上昇を5%程度に抑えつつコンバージョン数を約70%も増加させており、これは効果的な新規顧客層の開拓につながった結果と言えます。
一般的に新規施策を実施するとCPAやROASが悪化する傾向がありますが、コマースデータとAIの力を活用することで、パフォーマンスを維持しながらボリュームを拡大することが可能です。このアパレルブランド様でも、2024年7月から開始し、2025年5月現在でも同水準の高い成果を継続しています。
注意点としては、AIエンジンを使用しているため学習期間が必要なことです。成果が出るまでには2~3ヵ月かかる傾向はあるものの、その後は、高いパフォーマンスを継続して発揮します。
──EC以外の活用事例も教えてください。
人材業界もコマース・オーディエンスと相性が良い業種です。ユーザーが見る求人の傾向や転職を考えるタイミングをエンジンが予測し、適切なタイミングで適切な求人広告を提示します。
また、旅行業界向けには専用オーディエンスを開発済みで、ヨーロッパでは高い実績を上げており、日本ではテスト運用中です。このオーディエンスは、旅行業界専用の最適化エンジンでAIが学習したデータを基に構築されています。
ユーザーの旅行予定や予約傾向(直前に予約する人や前々から予約する人など)、さらにはファミリー旅行か一人旅かといった行動傾向を基に、ユーザーにとって最適なタイミングで、適切な商品を提案することが可能です。