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マーケターが向き合うべき「人間の欲求」を丸裸に!セガ エックスディー伊藤氏と面白法人カヤック後藤氏が語る、ゲーミフィケーション最前線

優れたマーケターは「顧客に考えさせる」。オイシックス奥谷氏に聞く、効率化時代の小売企業の価値創造

アンケートからインタビューへ。インサイトを引き出すゲーミフィケーション

伊藤:「脱・アンケート」することは大事ですね。日本だと、「何歳ですか」「住まいは」といったスペック的な質問が多いと思います。奥谷さんがおっしゃったクイズの設計は、どちらかというと質問というよりも対話、インタビューですよね。そのほうが顧客目線でも自律欲求が刺激されて「自分自身のことを聞いてもらえた」と、聞き上手な人と話している感覚を持つのではないでしょうか。

株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員COO 伊藤真人氏
株式会社セガ エックスディー 取締役 執行役員COO 伊藤真人氏

奥谷: おっしゃる通りで、僕はそうした領域にゲーミフィケーションが使えると思っています。先ほど紹介したように、軽めの質問や状況を尋ねる問いを入れて、即時に回答してもらうと良いと思います。

 たとえば、ハンバーガーショップのアプリを開いた時に、「夜食べるなら何が良いですか?」「飲み物は何が好きですか?」あるいは「あなたは今ダイエットしていますか?」「どんな運動をしますか?」など。その質問に答えた上で、チーズバーガーを頼む人もいれば、サラダを食べようと思う人もいるかもしれません。

 SNSと連動させて、「○○とのコラボ商品、どちらを買いたい?」といった発信も、顧客との距離を縮めて自分事化してもらえます。このようなインタラクティブなコミュニケーションが今、必要なのではないかなと感じます。

伊藤:そういった取り組みは、実はゲーム業界では結構普通だったりします。アプリを制作している途中で「キャラクターの名前はどれが良い?」「どのデザインが良い?」などをファンに聞いて、スタッフロールに載せているケースもありました。ゲーム業界が各社の経験則でやっていたことを、今度は米国でリテールやメーカーが始めているのですね。

徹底した“お得意様”マーケティングの時代へ

奥谷:先ほど紹介したSephoraは、別のつながり続ける価値として、期間限定のインフルエンサー資格システム「Sephora Squad」を設けています。また、そのようなコアな人向けのクローズドイベント参加権が、ロイヤルティプログラムの中に入っています。

 他にも特典として、先行販売商品の優先購入権なども海外ではよく見られます。日本の小売りでももっと取り入れると良いなと思っています。

伊藤:そのような仕組みは、「選ばれた特別感」を感じられますね。

奥谷:僕は、これからの小売事業は徹底した「お得意様マーケティング」の時代だと考えています。ロサンゼルスの高級スーパー「Erewhon Market」は、年額100~200ドルという高額なメンバーシップに登録するとスムージーが1杯無料になり、来店頻度を高めてお得意様を作っています。スーパーなのに、高級ブランドとコラボするといったブランディングをしており、客単価もかなり高いです。この「有料でも入りたいプログラム」は、特別感と並ぶロイヤルティプログラムのトレンドですよね。

伊藤:日本市場の小売りは、やはり顧客は平等という概念が強いのですかね。

奥谷:もちろん、どこの国であっても平等にしなければ文句を言う人はいるでしょう。そのリスクを対応すべき課題と捉えるか、割り切るか。スポーツ観戦のチケットだって、アーティストのファンクラブだってより大きな金額を掛けたファンが優遇される設計ですから、小売りだけがやってはけない、ということはないですよね。

伊藤:お金を払えば贔屓される仕組みということですよね。「〇円多めに払えば、並ばなくても食べられるラーメン屋」みたいな業態が当たり前になっても良いと思います。

奥谷:もちろん「金銭で解決するのか」という抵抗感もあるとは思います。ただ、結局強いブランドというのは、ファンが盛り上がっている様子を見たそれ以外の「サイレントビューアー」な人たちが「中に入りたい」「ファンでいたい」と感じる状況ができます。小売りの良い体験を突き詰めて考える時、ゲームやコンサートといったエンタメから学ぶことは色々あります。

伊藤:あえて言葉を選ばずに言うと、「顧客を差別する」はキーワードですよね。

奥谷:僕は最近「徹底してお得意様を輝かせる」という言葉を使っています。

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今、求められるのは「意味ある消費」の創造

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49605

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