コミュニティは「結果」として生まれる
三浦:私は3C理論という持論を持っています。ブランド存続のためには、コンテンツとコミュニケーション、コミュニティ(3C)が大切です。そして、ECやブランドの最終形は、コミュニティだと思っています。しかし、コミュニティの形成を目的にするのではなく、コミュニティはコミュニケーションを通じて作られ、コミュニケーションために必要なのがコンテンツという考え方です。
クラシコムさんも、コミュニティができていますよね。コミュニティ作りをしようと決めたタイミングがあるのですか?
高山:クラシコムもコミュニティを作ろうとはしていないのですが、そう言っていただける機会は多いです。おっしゃるとおり、先にコミュニティを作ろうと思うとうまくいかないと思います。
たとえば、初対面の人と話す時に、「今日も暑いですね」という話には天気というコンテンツがあります。コンテンツがないとコミュニケーションは成立しません。コミュニケーションの取り方を考えるなら、元になるコンテンツをどうするか考えることで円滑になります。企業は意外と生活者とコミュニケーションをしていません。商品が主語になったプロモーションをコミュニケーションとして解釈しているケースが多いと思います。
三浦:そこをどう変えるかですよね。
コンテンツセントリックを阻む壁とは?
三浦:とはいえ、実際の会社組織ではKPIに縛られていたり、慎重に事を進める姿勢が求められたりと様々な壁があると思います。たとえば、多くの企業はコンテンツ制作に高いハードルを感じていると思います。クラシコムではどのような考え方でコンテンツ制作をされていますか?
高山:コンテンツを思いを込めた自分の作品だと思ってしまうと、大変ですよね。一生懸命作っても思ったより見られないことはよくあります。1回でなにかしらの結果を出すというよりも、活動を継続できる仕組みや建付けの開発が大切だと思います。

三浦:確かに、制作労力と反響は比例しないことも多いですよね。だからこそ、届けたい人に届き、見てもらう工夫を考えながらコンテンツを作る意識が大切だと思います。それに、商品の使い方をテキストで紹介するだけでも十分だったり、同じ内容について切り口を変えて何度も発信したりしても成立するケースも多いです。さらに、質よりも量やタイミングが重要な場合もあります。
KPIについては、クラシコムではどのように考えていますか?
高山:クラシコムでも、企業としてはもちろん数値を追っていますが、個人やチームに対して細分化された定量的なKPIを課すことはしていません。個人がKPIに偏重しすぎると、チームで大きな課題に取り組めなくなることもあるからです。
もちろんモニタリングは徹底していますし、SNSの担当者同士で振り返りも行っています。ただ、そこで重視するのは「何がわかったか」です。会社のビジョンやバリューという土台のもと気付きを得て、仮説を立て、次を考える。ここが重要だと考えています。
