潜在見込顧客が「買いたい」と思う、話題化の山場をつくる
検証期を通じてバーニングニーズが見え、新規顧客も増加していった一方で、この段階のROASは目標の3分の1程度にとどまっていた。それでも広告投下を無闇に抑えるのではなく、「便益を理解してくれた潜在見込顧客の母数をどれだけ増やせているか」を指標にし、効率的なミドルファネルへの投資を続けた。
「ROASだけを見ると、短期的には“効率が悪い負けパターン”に見えるかもしれません。しかし、その中にはプロダクトの便益を認識してくれた、近い将来の“お客様”を生み出すための投資としての観点でも評価しました。重要なのは、この便益認識した潜在見込顧客のプールをいくらの投資でどれだけ生み出せたかです。次にすべきことは、この人たちが『買いたい』と踏み切れる山場をどうつくるかです」(川端氏)
売り上げが伸び始めた拡張期では、蓄積期で増やしてきた「便益を理解している潜在見込顧客」に対して、最後の一押しとなるフックを設計する。本事例では、インフルエンサーとポップアップによる評判形成と「買いやすさの出口」を設計した。
広告やLPでは「どんな商品で、自分に合うのか」を伝え、SNSではリアルな声や評判に触れ、ポップアップで実物を体験してもらう。複数のタッチポイントでブランドを多面的に認識した結果として、「買ってもいいかもしれない」がそろった瞬間に購買が起きていく。
すでに便益認識まで進んだ層が一定数蓄積されていたからこそ、インフルエンサーと掛け合わせることでポップアップに一気に足が向き、行列が生まれた。その行列をインフルエンサーがさらに拡散し、それを見た人がまたポップアップに来るというサイクルが回り始めた。
最適化期では、さらにギフティングや反応のよかった投稿をWeb広告に二次利用し、一気にROAS効率も高まっていった。
費用対効果ではなく投資対効果で成果を見る
このように各施策の相関を考えて設計した結果、拡張期〜最適化期に大きく成果を伸ばし、販売数は検証期と比較して12.8倍、売上は15.2倍、ROASも410%と大幅に改善した。
ここでポイントになるのは、「ポップアップストアやインフルエンサーをやればいい」という話ではない。“何を成果とみなすか”という評価のものさしを時間軸ごとに変えていたことだ。
検証期は学習、蓄積期は便益認識層の母数、拡張期は話題化と買いやすさ、最適化期でROASといったように、各フェーズに応じた前提があったからこそ、一時的に数字が悪く見える局面でも「負け」ではなく「投資」と位置づけて顧客の創出を設計できたのだ。
「広告予算をうまく活用する上で、費用対効果だけでなく、投資対効果という観点が重要なことがわかっていただけたのではないかと思います。短期的だけでなく、継続的にダッシュボードを見ながら、便益認識率を高め、未来のお客様にきちんと投資をしていくことが大切です」(川端氏)
最後に、川端氏は本講演のポイントを下記のように総括した。
「便益は、消費者が求める言葉に翻訳して伝えることがポイントです。また、投資は未来のお客様をつくるコストとして捉えられるかどうかが重要になります。そして、投資した予算をきちんと回収するための設計が必要です。ここまでの話で、ミドルファネルが不可欠だということがご理解いただけたのではないでしょうか」(川端氏)
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