「性年代」だけのターゲティングは、もう通用しない。35の分類で導く、地方生活者の“実態”
MZ:分析の手法として「高解像度クラスター分析」を行っていると伺いました。一般的なエリアマーケティングと何が違うのでしょうか?
鷹野:解像度が圧倒的に違います。従来の「性年代」だけの分析では、同じ60代男性でも「都心に長く住む富裕層」と「郊外に移住したリタイア層」の違いまでは見えませんでした。私たちは、国勢調査などの公的データをベースに、戸建て居住の有無、所得水準、自動車の保有状況などの詳細な要素を組み合わせてライフスタイルを定義し、現在35種類のクラスターに分類したものをデータソースとして分析をしています。
これにより、「A市のこのエリアは、B市のこのエリアと似たライフスタイル層が多い」といった横断的な分析が可能になります。担当者にその土地の“土地勘”がなくても、データが「どのような生活者がいるか」を教えてくれるため、精度の高いプランニングが可能になるのです。

媒体の「価値再定義」から、通販の「反響最大化」まで データが導き出した地域攻略
MZ:具体的な解決事例をお聞かせください。
篠木:たとえば、ある鉄道会社様では、自社の沿線住民の属性を深く把握できておらず、広告媒体の販売に苦戦されていました。そこで私たちは、沿線の住民特性をデータで可視化しました。他社路線と比較した際の強みを明確にし、「この駅周辺には○○に関心の高い層が多い」といった事実を数字で裏付けたのです。これにより、ターゲットとなる広告主への提案精度が上がり、営業戦略の刷新や、データに基づいた新媒体の開発検討にもつながりました。
鷹野:鉄道会社様は当然、沿線について深い理解をお持ちですが、そこに「ライフスタイル」という視点を加えることで、媒体の価値を再定義できます。たとえば「この駅は学生が多い」という定説に対し、データで「実は週末に特定の商業施設へ向かう若年層ファミリーも多い」といった新たな事実を示すことができます。これまで見過ごされていた価値をフラットに分析・提示することで、新たな広告主へのアプローチが可能になるのです。
篠木:また、ある通販会社様の事例では、「全国一律」から「エリア特化」へクリエイティブを切り替えることで、反響の最大化を図りました。通販は通常、商品機能や価格を訴求しがちですが、地域ごとの特性に合わせて「地元の方々に親しみを持ってもらえるコミュニケーション」を開発したことで、より深く生活者に届くようになりました。
鷹野:通販事業では「反響数」がすべてです。それを最大化するために、私たちは「誰が言うか」までこだわります。単に方言を使ってローカライズするだけではありません。その地域で信頼されている「ローカルインフルエンサー」のような人物を起用するなど、データから導き出された「その地域で共感を生む要素」を反映させます。メディアプランニングだけでなく、「誰が、何を届けるか」というコンテンツの中身までをエリアごとに最適化するセットアップを行っています。
篠木:他にも、誘客・集客を必要としているお客様との取り組みが増えてきています。観光地や商業施設、ホテル、流通などの分野で、こうしたデータ活用が進んでいます。

